藤田観光は、なぜ「小涌園」を再開発するのか 創業地「箱根」から始まるリゾート事業の攻勢
藤田観光の創業者・小川栄一の銅像が、「椿山荘東京」から「箱根小涌園」に移されたのは、つい最近のことだという。現在は有形文化財の建物で、グループ発祥の地「蕎麦 貴賓館」のそばにひっそりと置かれ、「箱根ホテル小涌園」を見下ろす位置に立っている。いま藤田観光はこの箱根を軸に攻勢の気炎をあげている。
藤田観光には3つの事業がある。「ホテル椿山荘東京」に代表される高級ホテルや婚礼や宴会場を運営するラグジュアリー&バンケット事業、箱根小涌園などのリゾート事業、宿泊に特化した「ワシントンホテル」「ホテルグレイスリー」を運営するWHG事業(ビジネスホテル事業)だ。
あの「ゴジラホテル新宿」も運営
3事業の中で、堅調なのがビジネスホテルだ。2015年以後、ゴジラホテルとして有名になった「ホテルグレイスリー新宿」を筆頭に、グレイスリーブランドで京都や那覇など3軒を開業、今年も2軒の開業を予定する。
近年は高稼働や客室単価上昇を追い風に、グループ利益の大半を稼ぎ出すまで成長した。訪日観光客の増加が背景にある。また、不動産オーナーに建物を借りて運営を受託しているため、採算もよい。ビジネスホテルを今後10年の成長戦略の柱に据えて出店を加速している。
そして今般、着手し始めたのが、箱根小涌園に代表されるリゾート事業の改革だ。4月20日には箱根小涌園に高級旅館「天悠(てんゆう)」を開業した。
箱根小涌園はもともと関西の財閥である藤田家が1918年に建設、所有していた小涌谷の別荘に由来する。藤田観光の初代社長・小川栄一氏が1948年に譲り受け、旅館として開業。まさにここが藤田観光の発祥の地だ。1959年には現在も残る「箱根ホテル小涌園」もオープンした。
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