75歳以上の運転免許返納がまるで進まない実態 都道府県別75歳以上「免許返納率」ランキング

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現在、ほとんどの自治体で、運転経歴証明書を提示することで、バスや電車などの公共交通機関やタクシーの運賃割引が受けられるなどの施策を設けて、運転に替わる移動手段を提供しています。

さらに、医療機関への送迎、生活用品の宅配サービスなど、車を使わなくても日常生活を送るための支援や、自主返納に関連して、運転適性相談や、廃車買取、運転経歴証明書の発行手数料の支援、電動自転車や車いすの利用相談を行う自治体もあります。

民間企業も駅近マンションの斡旋、近隣宿泊施設や温泉の割引、商品券の発行など、高齢者の外出を後押しするようなサービスを導入しているケースがあります。サービスは充実してきていますが、とくに地方部では、車なしでの生活に不安を残したままとなっています。

諸外国でも試行錯誤

日本より高齢者が車に乗ることが多い諸外国でも高齢ドライバーに対してさまざまな対策がとられています。日本にはない制度として、免許更新時の認知症検査だけでは捉えきれない、日常での身体・認知機能に関する情報を、かかりつけ医や家族からも得る国や地域があります。家族が免許返納を説得しきれなくても、危険な兆候があれば、客観的な判断を受けるきっかけとなります。

また、健康状態によっては、運転可能な地域や時間帯を限定する国や地域もあります。例えば、加齢によって視野が狭くなっているなどの状態では、日中よく知った道であれば、安全に運転できる可能性があり、運転を継続する可能性が広がるかもしれません。

自動運転技術やウエアラブルデバイスによる健康状態のモニタリングも、高齢ドライバーによる事故の低減に効果があると考えられています。しかし、原則として、加齢によって一定以上の身体・認知機能の衰えがあれば、運転を止めるのが望ましいでしょう。

日本においては、近く、これまでよりも免許保有率が高く、人口の多い団塊の世代が75歳を迎え始めます。国内あらゆる地域で、高齢になっても自立した生活を送るために、安全な移動手段を早急に確保していく必要があります。

村松 容子 ニッセイ基礎研究所保険研究部 准主任研究員

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むらまつ ようこ / Yoko Muramatsu

死亡・疾病発生リスクについて、統計的にその発生状況を算定すること、および、消費者調査を通じて消費者がどのようにリスクに対応するのかを研究。国が公表している疾病統計以外にレセプトデータ、健診データ、健康に関する消費者の意識調査などを使ってさまざまな視点から分析している。ニッセイ基礎研究所の著者ページはこちら

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