「子どもの医療費」助成が過熱しすぎの問題点

健康を見守り、経済的負担を軽減する制度だ

乳幼児医療費助成制度は、子どもの健康を見守ったり受療機会を逃したりしないための制度ですが、課題もあるようです(写真:kai/PIXTA)

みなさんがお住まいの市区町村では、子どもの医療費自己負担額は、何歳まで無料でしょうか。法律上は、就学前の子どもの自己負担は2割です。2割負担は、2002年10月以降、3歳未満の乳幼児のみに適用されていましたが、2008年4月以降は就学前の子どもにも拡大されました。

実際は、すべての都道府県や市区町村に、乳幼児医療費助成制度(子どもにかかる医療費の自己負担分を助成する制度)があるため、自己負担が無料か、かなりの低額で医療機関を受診することができます。

子育て世帯の経済的負担を軽減する制度であるため、自治体にとって若い世帯を呼び込むための政策の1つであり、全国で助成拡充競争が過熱しています。

子どもの健康を地域で見守り、子どもの受療機会を逃さないために、助成制度を有効に活用することが推奨される一方で、限りある財源の有効活用のためには課題もあります。本稿では、最近の助成対象拡充状況と、この制度が持つ課題を紹介したいと思います。

助成拡充競争は過熱気味

乳幼児医療費助成制度は診察を受けられずに亡くなる子どもを救うために1960年代にはじまり、1990年代半ばには全都道府県に広まったようです。現在、都道府県が持つ助成制度を、市区町村が政策や財政力に応じて拡充していることが多く、同じ都道府県でも市区町村によって助成内容は異なります。

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2017年4月時点の助成対象年齢を市区町村別にみると、通院、入院ともに「15歳年度末まで(中学生まで)」が最も多く、全体で1741の自治体に対し、それぞれ1023(59%)、1131(65%)でした。

「15歳年度末超(中学卒業後)」の自治体は、478(27%)、515(30%)もあります。

外来受療と比べて入院受療に対する助成のほうが充実しています。現在の最長は北海道南富良野町で、22歳までと非常に充実したものとなっています。

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