(第23回)2010年度新卒採用活動を学生モニターレポートから読む

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(第23回)2010年度新卒採用活動を学生モニターレポートから読む

採用プロドットコム株式会社
 前回のレポートでは、百年に一度といわれる景気後退局面において、採用数が「未定」の段階にもかかわらず予定どおり進行する採用活動に警鐘を鳴らした。そして迎えた年明け、早期から採用活動に取り組んできた数社が2010年新卒採用の中止(見合わせ)を発表した。しかし、今のところ多くの大手企業では採用活動の手綱が緩む気配はない。今回のレポートでは、採用プロドットコムがコンテンツとして提供している学生モニターレポート「就活している」(サービス提供:している株式会社)から、大手企業が取り組む採用活動をミクロ的視点でレポートしたいと思う。
「学生モニターレポート」:首都圏や関西圏を中心に全国数百人の就活学生をモニターとして組織し、彼らの就職活動の状況や参加したセミナーなどの接触機会の事実を編集部が取材しレポートするサービス。モニター学生の就活内容は、彼らの意思が100%尊重されていることから、モニターがアプローチする企業や業界はミクロな見方ではあるが、ある種の人気のバロメーターともいえる。

●2009年年明け早々、2010年新卒採用中止を発表する企業が表面化

 前回のレポートでは、現在、各社が展開している2010年の新卒採用活動について、懸念すべきポイントを三つあげた。今回はそのポイントに沿って、学生モニターレポートから見える動向を解説していきたいと思う。
前回のポイント(1)
 例年、三桁以上の大型採用企業が取り組んでいる2010年度春入社の採用活動は、その4割以上が採用数未定のまま暫定的に実施している。各社の採用数については最終的に「昨年比減少」の可能性が極めて高い。「未定」のままかつ、オープンに進行する採用活動はある種の危うさを孕んでいないだろうか。
<ポイント(1)について>
  採用数の発表については、景気後退による「昨年対比減少」という形ではなく、突然の「採用中止」という発表で年明けに表面化した。最初の一報は、10月よりかなり内容の濃いオープンセミナーなどを開催していたインテリジェンスが、2010年3月卒業予定者の新卒採用中止を決定したとの情報だった。
 首都圏の学生モニターによると、「同社にWebエントリーしていたところ、1月5日に新卒採用活動中止の旨が、E-mailで送られてきた」とのことだ。今後予定していた選考を伴う「会社説明会」についても、予約受付け中のものも含めすべて中止を決定とのことだが、同社IT専門職に関しては、引き続き採用活動を行う予定である。人材関連ビジネスについては、スタッフサービスやアデコといった大手も事実上の2010年春の新卒採用中止を発表している。今回の景気後退が中途人材の紹介や派遣といった各社の主力事業を直撃している。数年前は各社とも数百人規模の新卒採用に取り組んでいた存在感抜群の企業群。急速に進む雇用調整が業界に与える影響は、2010年春の新卒採用においても、かなり鮮明にまだら模様となって表れつつある。

 また、ミスマッチに悩む外食業界の中でも高い人気を誇るスターバックスコーヒージャパン(SBCJ)も15日、今春の新卒採用活動を見合わせることを告知した。同社にWebエントリーしていたモニター学生によると、「2010年春の新卒採用活動見合わせのE-mailが届いた」とのこと。米国本社では早くから店舗閉鎖などのリストラ策を発表していたこともあり、早晩その影響が太平洋を超えることは予想できなくはなかったが、学生にとっては意外な企業からの突然の知らせであったようだ。SBCJでは Webエントリー者向けに配信していたメールマガジンの配信を一旦停止。春以降の採用活動は、今後、新卒採用ページ内で告知していくという。その他にも、三桁の大型採用企業ではないが、不動産や大手優良メーカーの子会社、地域展開する百貨店なども、年明けに続々と2010年の採用中止を正式発表している。年明けに発表が集中した背景には、昨年末の日本綜合地所の内定取り消し問題の教訓が生きたのだろう、学生の軌道修正が可能なように早めの発表や告知に踏み切ったことが想像できる。
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