●理系学生のスペックを持った文系学生への早期アプローチ
前回のポイント(2)
かつて新卒採用数を大きく削減した影響で年齢構成がゆがみ、苦労した経験は製造業に多い。しかし、製造業は例外なく理工系の採用を優先する傾向が顕著だ。したがって真っ先に製造業の採用数減少の対象となるのは、早期から就活に取り組んでいた多くの一般的な文系学生ということになる。採用計画数減少は文系学生の梯子を外す結果になるのではないだろうか。
<ポイント(2)について>かつて新卒採用数を大きく削減した影響で年齢構成がゆがみ、苦労した経験は製造業に多い。しかし、製造業は例外なく理工系の採用を優先する傾向が顕著だ。したがって真っ先に製造業の採用数減少の対象となるのは、早期から就活に取り組んでいた多くの一般的な文系学生ということになる。採用計画数減少は文系学生の梯子を外す結果になるのではないだろうか。
正式な採用数については、各企業からの発表を待たねばならないが、学生モニターレポートから見る限り、一部特定職種で応募した文系学生に対しては、着々と具体的な選考や選考にきわめて近いコミュニケーションが行われているようだ。職種別採用に取り組む某大手電機部品メーカーが年明けに発表した応募内容の例として見てみる。
まず、職種別採用コースは、法務(文系)と経理(文系)。理系分野は知的財産(理系・他)、システム・ネットワークエンジニア(理系)とある。法務(文系)への応募資格は「法律分野に関する一定の基礎知識を有する者が対象」とあり、経理(文系)は下記のいずれかの要件を満たす者を対象として「公認会計士試験 2次試験合格者」、「税理士試験合格者または一部科目合格者」など4つの応募資格があげられている。
応募については、オンラインES(エントリーシート)とWeb適性検査を、同社のWeb個人ページより提出し、受検することが義務付けられており、上記2点の提出をもって応募完了というプロセスになっている。
某企業は日本経団連の倫理憲章の共同宣言に協力するとした企業の一社だが、学生モニターレポートでの選考日程を見ると、最終学年になる以前の1~3月に選考を行うことが明示されている。日本経団連では、従来、共同宣言に使用してきた文言である「採用選考活動」は、応募者を選抜する活動にプラスして広く一般的採用広報も含まれていたため、倫理憲章の第二項「採用選考活動早期開始の自粛」を「選考活動早期開始の自粛」と変更、企業の自粛すべき活動として応募者を選抜する活動と明確化した。
しかし、現実的な問題として、多くの大手企業の選考活動には、ESもWeb適正検査も組み込まれており、それらはほとんどネットを通じてやり取りされるようになっている。自粛すべき採用活動は選考面接という場だとしても、ESやWeb適正によって選考することは可能だし、某企業のように募集のスペックが明確であればあるほど、そのようなプロセスを踏むことは容易となる。文系学生全体を見れば採用数の減少は影響が大きいことは間違いないが、理系院生の専攻と同様の基礎的スペックを持つ文系学生に対しては早期から明確なアプローチがかけられている。俯瞰ではなく、優秀層というミクロで採用活動を凝視すると、全体の文系採用枠は早期から確実に埋められていることが分かる。
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