(第23回)2010年度新卒採用活動を学生モニターレポートから読む

前回のポイント(3)
 「輸送機器」、「金融」、「商社」、「マスコミ」といった文系学生の人気が高い4つの業界は採用数の大幅減少が予想される。過剰な大手人気企業志向が原因のミスマッチが発生するのではないか。
<ポイント(3)について>
  学生モニターレポートのなかで昨年秋の就活スタート時にセミナー開催情報などのレポートが目立っていた自動車業界に関する情報が、年明けを境に目立たなくなってきた。この現象を裏読みすれば、モニター学生の自動車業界に対するアプローチに若干の翳りが生じたという予測。あるいは、自動車業界からのアプローチに多少の歯止めがかかったという予測が成り立つ。このような現象はリーマン破たん以降、急速に進んだ実態経済の悪化、世界的に落ち込みを見せる自動車需要と無縁ではないと思われるが、一方でそのど真ん中にいる外資系金融の情報は盛んにレポートされている。
  この時期は、上位校をターゲットに、インターンシップから一貫した早期採用活動に取り組む外資系金融の動向が例年盛んな時期ではあるが、リーマン破たんを機に崩壊したレバレッジを効かせた投資銀行モデルの終焉は少なからず志望度に影響を与えたはずだ。しかし、多少は方向転換組はあったとはいえ、この状況で外資金融を志望するつわもの達にとってはそんなものは関係なし…むしろ「リーマン破たんのお陰で強力なライバルが減ってラッキー」というくらいに考えているのかもしれない。以下は、某外資系証券の債券部門で行われた1次選考通過者に対するレポートだ。

 2次選考は集団面接。学生5名に対し、面接官は若手社員が2名、時間は約1時間程度だった。質問内容は、『1分から1分半で、自己紹介』『外資金融の志望動機』『風邪を治すのにいい方法は?』『最近の新しい発見は?』『債券のセールスについてどう思うか?』という内容で、その後、早押し形式の質疑応答に移るというものだった。2次選考を受けた学生の感想は、「通り一遍な質問ではなく、その場で考えさせる内容だったので、学生の地頭を見てくれているような気がした」「後半は挙手形式で、周りの学生よりも少しでも早く手を挙げる必要があり、頭の回転の速さを見てくれていると感じた」というもの。

 モニターの感想から伺えるのは、“相手が選考で自分たちの何を見ようとしているのか”ということなどが伝わっているということだ。マイペースで選考を進める外資に対して、今年は各大学で倫理憲章を遵守することを明言している大手企業も少なくない。しかし、いくら遵守するとはいえ、優先的に会いたい学生と会えるように仕込んでおくことは採用活動で最も重要なプロセスだ。本格的な選考は第一段階で磨き上げた吟醸酒の原料米のような母集団、つまりES選考をパスしたものが対象となる。企業にとってはES提出者こそが本当の母集団であり、ここから競合他社との綱引きが始まるといっても過言ではない。各社のESの結果が五月雨式に出るのは2月中。「吟醸酒では不足、大吟醸しか要らない」という企業はさらに選考過程で応募者を磨きあげようとする。採用担当者にとって気の抜けない季節が始まろうとしている。
採用プロドットコム株式会社
(本社:東京千代田区、代表取締役:寺澤康介)
採用担当者のための専門サイト「採用プロ.com」を運営。新卒、中途、派遣、アルバイトなどの採用活動に役立つニュース、情報、ノウハウを提供している。

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