スクエニは、まだ栄光の過去を超えてはいない
いま見てきた、スクエニのケースのように、「目先はリターンをあえて捨て、中長期で大きなリターンで得る」という決断の仕方は、実は我々の日常にもつながる。
目先の数字や成果を追うばかりで、皮肉にも中長期の成長を実現できない企業は実に多い。「かがんでこそ、高く飛べる」という言葉があるが、先を見据えて、「あえて目先はリターンを追わない」、という選択をすることは、なかなか難しい。
もっとも、今回のスクエア・エニックスの取り組みを手放しで評価するわけではない。拡大する新市場に対して、過去のコンテンツを横展開して儲けるというモデルそのものは、古いやり口だ。ドラクエだけで見ても、任天堂のスーパーファミコン、ゲームボーイ、Wiiなどの、様々なゲーム機で行ってきた手法の延長に過ぎない。
今回の配信は、目先のリターンを追わないことで一定の成果はあげた。しかし、実際にゲームをしてみると、操作性などには改善がほどこされているとはいえ、まだ「20年以上も前の成功コンテンツの使いまわし」の域を出ない。
統合後、業績が低迷しているスクエニ。結局は、ドラクエとFFシリーズが頼りであることには変わりがない。「最高の「物語」を提供することで、世界中の人々の幸福に貢献する」というのがスクエニの経営理念だが、過去のコンテンツを超える物語を、これからも提供できるだろうか。
今回のテーマが、2014年にむけ、読者が「未来につながる決断」をするための格好の教材となれば幸いだ。これを書き終えて、年末年始くらいは、愛する「スクエニ」のカモ、じゃなかった、「よき顧客」としてゲームにどっぷりつかろうと思う。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら