実際、12月12日には、ゲームアプリとしては例のない2800円という高価格で「ドラゴンクエストVIII」の配信を開始したが、この際ユーザーに向けて使ったのが、このプッシュ通知。こうした、「コアのターゲット」に新しく通知をするのには、他の方法なら、1通につき100円くらいのコストがかかるのはザラだ。仮に100円とすると、300万件なら、ここで3億円相当の広告費が浮いた計算になる。
現にこの高価格「ドラクエⅧ」は、「Appストア」のランキングでも1位を続けているが、仮に最初の300万以上の無料ユーザーの約1割が、2800円のアプリをダウンロードするだけで、10億円近い売上げになるわけだ(アップルへの手数料等を除く)。
しかも、今後は「ドラクエ2」など、シリーズの他のタイトルも順次配信すれば、その効果はシリーズが出ることに増えていく。スジの良い大量の見込み顧客へのアプローチ手段を獲得できたインパクトは計り知れない。
3つ目は、「世の中のカモの数全体を増やしたこと」だ。
今回の「ドラクエ無料配信」によって、スクエニは「今出ているスマホゲームはしない」が、「子供時代にやったドラクエくらいなら手軽にやってみたい」という新規層を取り込んだ。当然のことながら、これは「スマホアプリゲーム市場全体の拡大」の起爆剤の一つになった。
スマホゲームのパイ全体を増やすことは、実はとてもおいしい。市場が拡大すれば、スクエニはファイナルファンタジー(FF)シリーズ等の既存の他コンテンツでの売上げ増加も見込むことができるからだ。実際、有料アプリランキングをみると、FF等の他コンテンツも上位に入っている。つまり、ドラクエ後に他のゲームもダウンロードしたユーザーは多く、ワナにはまっているわけだ。
それだけではない。なんといっても、圧倒的に知名度のあるコンテンツ故に、無料利用からのゲーム内課金でなくとも、購入時に確実に課金できる「買い切り型」モデルをできたことなど、様々な効果があったのは大変興味深い。
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