勝つために厳しくは必ずしも結果に直結しない

ペップトークの活用でチームは劇的に変わる

「ペップトーク」をご存じでしょうか?(写真:kanetaku/PIXTA)
「ペップトーク」をご存じでしょうか? プロテニスプレーヤーの大坂なおみ選手を大躍進させた元コーチのサーシャ・バイン氏が使っていたことで日本でも徐々に知名度が上がってきているようです。
もともとスポーツ大国アメリカで試合前のロッカールームで監督やコーチが選手を前向きな言葉で励まし、心に火をつけるために行う激励のショートスピーチとして誕生しました。ペップトークはどのような効果があり、どうしたらできるようになるのでしょうか。また、部活や会社、地域のスポーツチームなどで応用することはできるのでしょうか。『実践!ペップトーク』から一部抜粋し再構成のうえお届けします。

ちゃんと捕れよ!エラーすんじゃねー!

2018年のある日、東京・品川にある創部50年を迎える少年野球クラブチーム「旗の台クラブ」は、小学3年生以下の関東124チームが参加する「荒川竹の子育成大会」の決勝戦の舞台に立っていました。

しかし、その4カ月前までは、このチームが決勝戦を戦っていることを想像した監督・コーチ、保護者、子どもたちは誰一人いませんでした。

4カ月前のチームの練習試合の状況は、子どもたち同士が「ちゃんと捕れよ!」「エラーすんじゃねーよ!」と責任を押し付け合ってケンカをしていました。ミスした選手には、コーチが「何やってんだ!」と責め、やる気の見えない子どもに監督は「やる気がないなら帰れ!」と途中交代させていました。

実際に、多くの少年野球チームが、このような状況だと聞きます。できなければ子どもを叱りつけ、やる気のない子どもには余計やる気をなくす言葉を投げかける……。勝つためには厳しく接する。これは多くのスポーツチームにもいえることかもしれません。

旗の台クラブの大矢敦監督は、「指導者が勝利にこだわっているだけで、勝利によって子どもたちが本当に楽しいと感じているのか? 子どもたちに野球を楽しんでもらうために指導者は何をするべきか?」と悩んでいました。

そんなとき、筆者が小学校のPTAに「ペップトーク」の講演会をしたことがきっかけで、この少年野球チームと関わることになったのです。私は監督・コーチと話し合い、ネガティブな言葉を使わずにポジティブな言葉に変えるよう伝えました。

以前なら「何やってるんだ! ミスするなよ!」「なんでそんなボール球を振るんだ!」「ボーッとするな!」と言っていたのを、「大丈夫、次はいけるぞ!」「真ん中のベルト付近にきた球を思いっきり振ろう!」「集中していこう!」と明るい表情で言うように変えていきました。

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