勝つために厳しくは必ずしも結果に直結しない ペップトークの活用でチームは劇的に変わる

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このように、アメリカでは普通に親しまれているペップトークですが、そもそもペップトークとは何なのでしょうか? 冒頭にお話しした「旗の台クラブ」の監督も、決勝戦の試合前のベンチで子どもたちにこう伝えました。

「さぁ、きたぞ、決勝戦。本気でやればできるということがわかったはずだ。今日の相手も最高のチームだ。しかし、勝つのは旗の台クラブに決まっている。みんなで新たな歴史をつくろう。それが今日だ。さあ、始まるぞ。思いっきり野球を楽しんでこい。チームの合言葉、いくぞ!(円陣を組んで)最高! 最幸!! さぁ~いこう!!!」

4つの骨組みからなる

こうした短いスピーチがペップトークです。ペップトークの構造は、4つの部分(骨組み)から成り立っています。

① 受容(事実の受け入れ)
「さぁ、きたぞ、決勝戦。本気でやればできるということがわかったはずだ。今日の相手も最高のチームだ」
② 承認(捉え方変換)
「しかし、勝つのは旗の台クラブに決まっている。みんなで新たな歴史をつくろう。それが今日だ」
③ 行動(してほしい変換)
「さあ、始まるぞ。思いっきり野球を楽しんでこい」
④ 激励(背中の一押し)
「チームの合言葉、いくぞ! 最高! 最幸!! さぁ~いこう!!!」

①の受容とは、今置かれている事実を受け入れてもらうことで、不安や緊張といったマイナスの感情をゼロに持っていきます。②の承認とは、事実の捉え方をポジティブに変換し、感情をプラスに持っていきます。③の行動とは、②で変換した捉え方を、どう行動に移せばいいかを示します。そして、最後の④の激励で、その人の背中を押して本番に送り出すのです。

これがペップトークの基本的な構造です。この順番で相手に話をすれば、相手は100%の力を発揮し、100%の結果を引き出すのです。

相手を励まし、やる気と結果を引き出すペップトークですが、リーダーがいきなりペップトークをしても効果はほとんどありません。なぜならば、ペップトークは「何を言うか」「どう言うか」よりも前に、「誰が言うか」が大事になってくるからです。

普段から厳しい上司や、逆に何も言わない上司が「大丈夫、君ならできる!」といきなり言っても、相手がその気になるはずがありません。つまり、自分自身が変わらなければ、相手にその思いは伝わらないということです。

そのためには、日頃から「何を言うか」「どう言うか」を練習しておくとともに、自分自身に投げかける言葉もポジティブに変えていかなければなりません。これを「セルフペップトーク」と呼びますが、セルフペップトークは自分自身を励ましやる気にさせる言葉がけです。

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