創業174年、ハチ食品がカレーにこだわる理由 「国産カレー粉」第1号企業のサバイバル戦略

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ここ数年、大手スーパーによる中小小売店のM&Aが進んでいる。大手スーパーはいずれもプライベートブランドを展開しており、ハチ食品が主力とする100円台の商品とバッティングする。また、同社の主力得意先はまさに中小スーパーであり、その意味で商品、販路の両面でバッティングしているのである。

そこでハチ食品では、200円~500円台のラインナップを拡充するとともに、毎年25~30のアイテムの新商品を送り出し、事業環境の変化に対応している。

日本式カレーを世界に広める

ハチ食品の強みは、カレー粉から自社生産している点にある。スパイスを調達し焙煎、粉砕、熟成という工程を経てカレー粉を自社生産し、レトルトカレーやカレールウを作っている企業は少ないという。この強みを最大限活用し、新しい販売チャネルの開拓と新商品の展開することで、3期連続増収増益を果たし、100億円企業にまで成長した。

土居鋭一(どい えいいち)/ハチ食品 代表取締役社長。1955年生まれ。1978年東京水産大学卒業。協和発酵を経て2008年4月ハチ食品入社。2013年10月より現職(筆者撮影)

2018年4月、ハチ食品は経営ビジョンを見直した。「Aim to be excellent Curry Company~カレーと共に これまでも これからも~」。

日本で最初にカレー粉を作ったという史実はハチ食品の大きな財産だ。この財産を生かすべく、経営ビジョンには、もう一度原点に立ち返り「カレーのハチ食品」をアピールしていこうという決意が込められている。

2016年には2代目今村弥兵衛伝承の調合に基づいた「蜂カレー」を復刻発売したのもその表れである。

今後は海外にもマーケットを広げていく計画だ。すでに中国をはじめアジア諸国の日系デパートやスーパーの棚に並んでいるが、業務用にも進出し、日本式カレーを世界に広めようとしている。

昌木 裕司 帝国データバンク 大阪支社情報部長

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まさき ゆうじ / Yuji Masaki

1986年明治大学政治経済学部卒業後、帝国データバンク入社。本社人事部、企画部を経て2002年より広島支店営業部、情報部それぞれの責任者を歴任。2009年に東京支社情報部情報取材課長として、上場企業などの大型倒産取材に携わる。2012年情報取材部門の本社統括課長、福岡支店情報部長を経て、2017年5月より現職。

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