埼玉発「山田うどん」が熱烈に支持されるワケ 半世紀以上続く地元密着チェーンの哲学とは
埼玉県内の幹線道路を車で走っていると目にする、黄色地に赤いかかしのマーク。車で出入りしやすいよう出入り口が2、3カ所設けられ、平面の駐車場は大型トラックも含む数十台が駐車できるよう広くとられている。その店の名は「山田うどん」だ。
山田うどんは1935年に埼玉県所沢市に手打ちうどん専門店として創業。武蔵野台地で盛んに栽培された小麦を用いて製粉や製麺を行い、当時は外部への卸売りが中心だった。今はやりのコシのあるうどんではなく、軟らかい麺が特徴だ。
「平日の昼は男たちのパラダイス」
だが、麺の卸売りでは思うように儲からなかったため、1965年には現在のような食堂店舗の営業を開始。当時は1杯70円程度だったうどんを35円で販売して人気を呼んだ。以降は店舗数の拡大を続け、現在はロードサイドを中心に170店ほど展開する。東京23区内には蒲田と五反田の2店のみで、半数を超す約90店は埼玉県内の立地だ(特設ページ https://toyokeizai.net/sp/
営業企画部長の江橋丈広氏は「『山田うどんなら俺に語らせろ』という熱い人が多い」と語る。実際、テレビ番組などで埼玉特集が組まれると、埼玉にゆかりのある芸能人が次々に山田うどんの思い出を語り出す光景が見られる。
人気メニュー1位の「かき揚げ丼Aセット」は、特製のつゆでかき揚げを煮込んで卵とじにした丼に、うどん(もしくはそば)がついて、620円(税込み)。かき揚げ丼もうどんもそれぞれ1人前のフルサイズなので、かなりのボリュームだ。
山田うどんの客層は、約8割が男性。平日では9割にも達するという。メインの顧客はトラックやタクシーの運転手、車で移動する営業マンたちだ。「平日の昼は男たちのパラダイス」(江橋部長)で、男性の固定客を起点として戦略が採られてきた。
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