日清とサンヨーが激突「生麺特許戦争」の行方 袋麺の業界地図は激変 特許紛争で激闘
サンヨーは日清の特許はPBPクレームだと主張している。日清のストレート麺は、切り出し速度、ベルトコンベヤーの速度、切り刃から麺線を剥離する際の位置などの条件を調整している点に特徴がある。それに対して、サンヨーのストレート麺は、切り出しの際に強く気流を当てるうえ、その気流のために従来にはない特別な装置を使用しており製法がまったく違う、というのだ。
訴訟対象物はサンヨーの主張通りに
訴訟対象物についてはサンヨーの主張どおりになった。あとは裁判所が「日清の発明はPBPクレーム」と認めればサンヨーが完勝だ。素人目にはサンヨー有利に見える。
しかし、そうではないようだ。ややこしいことに、PBPクレームには真正(製造方法が違っていても侵害)と不真正(製造方法が違えば非侵害)がある。サンヨーが勝つには、裁判所が「日清の発明は不真正のPBPクレーム」と認める必要があるが、「そのハードルは高い」(前出の上山弁護士)という。そればかりか、「日清の発明は、実質的にはPBPクレームに当たらない可能性が高い」(上山弁護士)という。
そもそも日清はチキンラーメンを世に送り出した半世紀以上前から、他社による特許侵害に対し、極めて厳しい対応を取り続けてきた会社として知られている。
訴訟記録を見るかぎり、日清が特許使用料を請求した形跡はなく、徹頭徹尾、製造・販売の差し止めで攻めている。サンヨーは袋麺で高いシェアを持っており、使用料を取ることで収入を得る方法もありえるのだが、そうした考えはまったくないようだ。
日清がサンヨーのみを訴えているのは、マルちゃん正麺の麺は、ストレート麺ではなく縮れ麺だから。明星食品の「究麺」はストレート麺ではあるが、同社は日清のグループ会社だ。
こうした戦いをしている間にも、縮れ麺のマルちゃん正麺が快進撃を続けているのは皮肉といえるだろう。
(撮影:梅谷 秀司)
(週刊東洋経済2013年12月28日ー1月4日新春合併特大号)
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