ダンスを仕事にした33歳「FISHBOY」の流儀

才能を開花させる人とさせない人の差とは

「辞めたいと思ったことは何度もあります。正直言って、当時はダンスを職業にできるとは思っていませんでした。ところが、そのころ3人のチームで練習していて、私がダンス以外に気になることをやりたいと言い出すと、リーダーから『それをやってもいいけど、ダンスをやる時間はあるはずだ』と言われました。でも、そのとき厳しく言ってもらえたからこそ、今までダンスを続けてこられたのだと思います」

心理学の世界には「一貫性の法則」という言葉がある。自分が意思表明したことに対して、一貫した行動を取りたいという心理作用が働くそうだ。それでも挫折しそうになることがあるかもしれない。そんなとき、「1人では続けられないことでも、仲間となら続けられる」と、FISHBOYさんは言う。

テクノロジーを活用しない手はない

さらに、FISHBOYさんはダンスの上達を加速させるために、積極的にテクノロジーの力を練習に取り込んでいった。

スマホや動画サイトの普及でダンスの世界も大きく変化しているという(撮影:今井康一)

「自分が頭の中で思い描いている姿と実際の姿の間には、想像以上にギャップがあるものです。自分が踊っている姿をビデオで撮ってみると、脳内でイメージしていた姿とまったく違う。

かっこよく踊れたつもりなのに、なんでこんなにかっこ悪いのだろうと思うことがよくありました。その点、ビデオは超客観的です」

かつてはビデオ機材も高価だったし、映像を記録するにはテープを購入しなければならなかった。しかし、今ではスマートフォンを持っていれば、誰でも手軽に映像を撮影することができるようになった。

それだけではない。映像は世界中にシェアされるようになり、スポーツでもアートでも料理でも、その道のプロの映像を簡単に視聴することができるようになった。FISHBOYさんは、このことがダンスの世界にも大きな変化をもたらしているという。

「あるとき、アジアの学生ダンサーナンバーワンを決めるダンス大会の審査員をしていました。その出場者の中に、インドネシア出身でものすごくダンスのうまい子がいたのです。気になって『誰に習っているの?』と聞いてみると、

なんと、『普段は山奥に住んでいて、先生なんていないよ』という答えが返ってきたのです。インターネットの普及と動画の発展によって、直接先生からレッスンを受けられる環境がない子どもたちでも、いつでもどこでもダンスを学べるようになりました。質の高い映像を見られるようになって、国内国外を問わず圧倒的に成長のスピードが上がっているように思います」

同様の話を日本フェンシング協会の太田雄貴会長にも聞いたことがある。昔は国体選手の試合映像をビデオテープが擦り切れるまで見ていたが、今ではゴールドメダリストの試合をYouTubeで何度も観ることができる。それに伴い、格段に選手のレベルも上がっているというのだ。

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