ダンスを仕事にした33歳「FISHBOY」の流儀

才能を開花させる人とさせない人の差とは

FISHBOYさんは人よりもダンスを覚えるのが早かったというが、ほかの人と比べていったい何が違ったのだろうか。それは、並外れた身体能力を持っていたからではないか。そんな仮説に対して、予想外の答えが返ってきた。

「ダンスの覚えが悪い人は、大抵何となく全体を見てしまっています。逆に覚えがいい人は、1回目に見るときは腕を見る、2回目に見るときは足を見るという具合に、部分を見ています。一度に全部覚えようとして注意散漫になるのではなく、動き一つひとつに注目し、分解してから再現するのがダンスを習得する際の近道なのです」

ダンスと文章は似ている

アフリカには「象を食べるには一口ずつ」ということわざがある。大きな象も一口サイズにして食べていけば、最終的に平らげることができるという意味だ。ダンスも一度に覚えるのは難しくても、各パーツの動きを覚えていけば、最後には全体の動きをマスターすることができるようになるとFISHBOYさんは説く。

「ダンスは文章に似ています。子どものころ、「あ・い・う・え・お」という具合に仮名を覚えましたよね。仮名を組み合わせると、単語をつくれるようになります。ダンスも同じで、「蹴る・手を上げる」という個別の動作を組み合わせると、1つのまとまりで表現することできるようになります。

例えば、ダンスの「ステップ1、2、3」というかたまりが「りょ・く・ちゃ(緑茶)」という単語、ストップが句読点、つながった動きが文や文章に相当するイメージです。語学学習と同じように、一般的に子どもには『感性』で、大人には『理屈』でダンスを教えるようにしています。そして、慣れてくれば普段話すときに意識しなくても言葉がスラスラ出てくるように、ダンスでも動きが自然に出てくるようになるのです」

子どもには『感性』で、大人には『理屈』でダンスを教えている(撮影:今井康一)

まず、仮名を覚える。仮名をつなげて単語にする。単語をつなげて文にする。文をつなげて文章にする。ダンスは言葉を話すように身に付けられるものだと、FISHBOYさんは教えてくれる。

手応えが得られるようになると、毎日練習に取り組むのが楽しくなってくる。それに、ストリートダンスのいいところは、これといった準備が必要ないところだ。自分の部屋や公園で毎日稽古を重ねるうちに、FISHBOYさんはどんどんダンスにのめり込んでいった。しかし、ダンスは楽しいばかりで、つらいと思うことは一度もなかったのだろうか。

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