ダンスを仕事にした33歳「FISHBOY」の流儀 才能を開花させる人とさせない人の差とは

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だからこそ、FISHBOYさんはもっと大人たちが子どもたちに「自分が向いていること」に気づく機会を提供していくべきだと主張する。

「親が何の仕事をしているかわからないけど、毎日つらそうに帰ってくる。大人がお昼に何をしているのか情報を与えられていないのに、将来の夢を聞かれる。それでは、子どもたちは自分が何に向いているか、気づくこともできません。そのためには、子どもたちにもっとワクワクする話を聞かせるか、そういう人の姿を見せるしかありません」

企業が「ぜひ我が社を見てほしい」というのと同じように、「ぜひ私の仕事を見てほしい」とアピールできる大人が増えれば、早い段階にたくさんのワクワクする未来があることを知り、自分に向いていることに気づく子どもが増えるかもしれない。

踊る喜びを、日本全国に

これまで数々の結果を出してきたFISHBOYさんの教えは、ダンスはもちろん、それ以外にも取り組みにも幅広く応用することができるだろう。

最後に、FISHBOYさんに今後の展望について語ってもらった。

FISHBOY/ダンサー、振付師。1985年大阪府生まれ。オリエンタルラジオの中田敦彦氏の実弟。オリエンタルラジオの2人とユニットを組んだ6人編成のダンス&ボーカルグループRADIOFISHとしても活躍中。2003年『DANCEATTACK高校生』全国大会優勝、2009年『JUSTE DEBOUT』世界大会で優勝など数々の受賞歴がある。日本人ダンサーでは初となるアディダスオリジナルからスポンサード契約を受けた(撮影:今井康一)

「ダンスを覚えれば、言葉を話すように自分を表現することができるようになります。現在は小中学校でダンスが必修科目になりましたが、今の40代以上のようにそれより前に育って人生で一度もダンスを経験しない方も大勢いらっしゃいます。

そんな方々にも、ダンスを通じて得られる喜びを知ってもらいたいと思っています。言わば、『全国民ダンサー化計画』が私の野望です」

人は楽しいから笑うのでなく、口角を上げて笑顔をつくると実際に楽しくなるということはすでに広く知られている。

それと同じように、オックスフォード大学の心理学者とプロのダンサー合同チームによる研究で、ダンスが人間に幸福感をもたらすということも明らかになっている。

もしダンス経験がないなら、あなたも恥ずかしがらずにチャレンジし、踊る喜びを体感してみてはいかがだろうか。

川下 和彦 クリエイティブディレクター/習慣化エバンジェリスト

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かわした かずひこ / Kazuhiko Kawasita

2000年、慶應義塾大学大学院修士課程終了後、総合広告会社に入社。マーケティング、PR、広告制作など、多岐にわたるクリエイティブ業務を経験。2017年春より、新しい事業を創造し、成長させることを標榜するスタートアップ・スタジオに兼務出向。広告クリエイティブに留まらず、イノベーション創出に取り組んでいる。著書に『コネ持ち父さん コネなし父さん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ざんねんな努力』(アスコム)などがある。(撮影:原貴彦)

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