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大阪府松原市に本社があるダイウンは、特殊清掃や遺品整理を請け負う会社だ。特殊清掃は人が亡くなった現場を清掃する仕事、遺品整理は故人が遺した物を片付ける仕事である。
自らの意志で継いだ特殊清掃という仕事
社長の山本直嵩さんはまだ30歳と若い。3代目の社長だが、特殊清掃の仕事をはじめたのは山本さんの意志だという。
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話を聞く前に、実際に特殊清掃の現場に立ち会った。
指定された大阪市内のとある場所に足を運ぶと、木造建ての古いアパートが建っていた。2階に登る。山本さんは神妙な顔で、
「この部屋ですね」
と言うと、ゆっくりドアを開けた。
腐敗臭がワッと鼻についた。急いで中に入ってドアをしめる。臭いは強烈だが、ハエはほとんど飛んでいなかった。
「大家さんが燻蒸式殺虫剤を炊いたんです。だから、ハエはほとんど死んでいますね」
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確かに玄関先には、燻蒸式殺虫剤の空き缶がいくつか転がっていた。キッチンにはやはり大家さんがあげたのであろう、燃え尽きた線香がコップに入っていた。
ワンルームの和室は、とても片付けられた部屋だった。大きなタンスが1つと、ベッドが1つ置いてあるだけだ。
ベッドで亡くなったのは一目瞭然だった。敷布団は茶色い液体でぐっしょり濡れている。ベッドのはじにかけられた掛け布団も同じく濡れていた。
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