30歳の3代目が凄惨な現場で奮闘続けるワケ 跡を継ぎ、遺品整理と特殊清掃に行き着いた

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「そんな折、父親から『ダイウンに来ないか?』と誘われました。父親は僕が小学校のとき、腎不全になり、人工透析が必要な体になりました。そして体調が悪いまま働いていました。僕が社会人になった頃には、かなり体も弱ってきていたので、後継者を探していたんだと思います」

山本さんは就職した会社を1年足らずで退社し、2012年にダイウンに転職した。24歳になる年だった。

「就職した会社はとても大きい会社でしたから、安心感はありましたけど、与えられた仕事をこなすだけで全体は見通せませんでした。ダイウンは小さい会社ですから、全体を見ることができて面白いですね。自分の責任が大きいのも、やりがいがあります」

山本さんは3代目の社長候補生として会社に入社した。お父さんは信念を持ってドンドン突き進む、親分肌の人だった。厳しい人だったが、相談もできる頼りになる人だった。仕事の時は上司であり、いろいろ学ぶことは多かった。

「特殊清掃」と「遺品整理」を新たな業務に

負けん気の強い山本さんは周りから「親の七光りだろ」と言われるのが嫌だった。

「社長候補生として入社しましたが、結局は自分の力で伸びていかないといけません。何もやらなかったら、利益は生めないですから。

そこで新たな業務として『特殊清掃』と『遺品整理』をはじめようと思いました。どちらも“人がやりたがらない仕事”ですから、ライバルも少ないかな?という目論見がありました。

父親に相談すると『やってみたら?』と認めてくれました」

ライバルは少ないと踏んでいたが、業者は少なくなかった(筆者撮影)

2013年の夏に遺品整理の仕事をはじめ、年末には特殊清掃をはじめた。

ライバルは少ないと踏んでいたが、実際にはじめてみると遺品整理や特殊清掃をやっている業者は少なくはなかった。

「最初の仕事は金額をとても低く設定して対応しました。仕事のことも全然わかっていませんでした。でも、もちろんお客さんに『やったことない』とは言えません。そして結果もきちんと出さないといけません。とにかく作業員一同で頑張って作業をしました」

現在は「防毒マスク」を装着して作業をしているが、最初の現場ではわからずに「防塵マスク」を装着して仕事をした。

防塵マスクはホコリを取る機能しかないから、臭いはそのまま鼻にくる。ひどく苦痛だった。臭いも汚れもなかなか落とすことができず、とても苦労した。

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