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キャリア・教育 #「非会社員」の知られざる稼ぎ方

30歳の3代目が凄惨な現場で奮闘続けるワケ 跡を継ぎ、遺品整理と特殊清掃に行き着いた

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  • 村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター
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特殊清掃の仕事は明確なマニュアルがあるわけではない。

例えば、掃除で使う薬剤1つにしても、自分でインターネットを調べ、入手して実際に一つひとつ試してみる。そしていちばんきれいに掃除できた商品を使っている。

お風呂の湯船の中が現場だったときは、どのように掃除していいのかわからなかった。仲良くしている同業者に頭を下げて、清掃方法を教えてもらった。

「とにかく現場をこなして、腕を上げていきました。かなりレベルは上がりましたが、それでも臭いの問題は今でも苦労しています」

孤独死、自殺の現場も体験

実にさまざまな現場を体験した。

清掃している途中で「C型肝炎」と書かれた診断書を発見して、肝を冷やしたこともあった。それ以来、分厚い手袋と、防護服は欠かせないマストアイテムになっている。

孤独死も多いが、自殺の現場も多かった。

風呂場を締め切ってガムテープで目張りしてその中で練炭自殺をした現場では、清掃のときにまだ煙たい状態だった。

ヘリウムガスで窒息死した部屋には、いくつものガスボンベが転がっていた。

タンスを部屋の真ん中に置き、夫婦が互いに首に紐をかけ、紐をタンスの上に通し、背中を向けて座った状態になって、縊死(いし)で亡くなった部屋もあった。

仕事を取るのもイチから自分でやらなければならなかった。行政や葬儀社などに営業周りをして、けんもほろろの対応をされた。

集客の中心になる、ホームページも自分たちで考えながら制作した。

値段を決めるのも簡単ではない。誰もが掃除という作業におカネは出したくないと思っている。格安をうたうライバル業者もある。しかし値段をただ下げてしまっては、経営が成り立たなくなる。

「もちろん凄惨な現場に衝撃を受けることはあります。他にもいろいろ大変なことはあります。でも仕事を“つらい”とか“嫌だ”と思ったことは一度もないですね。自分でやると決めて、はじめたことですから。一緒に働いている従業員も同じ気持ちだと思います」

山本さんは、率先して事業を開拓し、技術を磨いていった。

そんな2016年の6月、お父さんが亡くなった。山本さんは跡を継ぎ、28歳の若さで社長になった。

「父が亡くなったことは、もちろんショックでした。でも仕事に関して言えば大丈夫でした。ブランクなく引き継ぐことができました」

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【死んだ後、困らないよう任せてくれたのかもしれない】

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