「幸せの国」ブータンで見えた障害者の過酷 母親と暮らす20歳の青年が心配する未来

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――学校に通うという選択肢がないなかで、お母様はタンディン君をどのように育てようと?

トゥッケン:ブータンでは、障害者はお坊さんとして生きていくことが多いんです。なので、お寺に預けようと思い、相談に行きました。ところが、この子はじっと座っていることが難しいということで、お寺にも断られてしまったんです。

この子はどうやって生きていけばいいのだろう

――学校もダメ、お寺もダメ……。

トゥッケン:目の前が真っ暗になりました。この子はどうやって生きていけばいいのだろうと。

息子・タンディン君の行く末を案じる母のトゥッケンさん(写真:筆者提供)

――ご近所付き合いというか、地域コミュニティーとの関わりはどうでしたか?

タンディン:年上の人から、ひどいことを言われたり、時には殴りかかられたり……。

――いじめに遭っていたということですか?

トゥッケン:いま住んでいるところではご近所の人にもよくしていただいているのですが、以前は王宮近くの掘っ立て小屋のような場所に住んでいたんです。その当時はこの子にもずいぶんつらい思いをさせてしまいました。

――タンディン君は、いまはどんな生活を?

トゥッケン:Draktshoという障害者向けの職業訓練所があるのですが、2009年からはそちらに通っています。

――昨日、職員さんにもお話を伺ってきました。Draktshoでは具体的にどんなことを?

タンディン:学校に通っていなかったので、最初は読み書きから教えてもらいました。いまは竹などを使ってカゴを編む仕事を教えてもらっています。

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