「パナソニックES社」が台湾にこだわるワケ アジアの住宅ビジネスモデル変革に挑む
台湾メーカーや欧州メーカーの場合、キッチン下のスペースは単純な引き出し構造だが、パナソニック製は仕切りが多く、包丁刺しやカトラリートレーなど、調理道具や調理小物を整理しやすく、収納性が高い。そのほか、最下部やコーナーに収納があったり、電動昇降棚、水を出したときにうるさくないようにシンクの裏に静音材を貼ってある、排水口の生ゴミ受けにぬめり防止加工、さらにホルムアルデヒドなど有害物質を含まない安全設計といった、狭い日本の家ならではの工夫が台湾でも注目されはじめている。
日本式収納が台湾の住宅事情にかみ合う
ほかの住宅設備でも同様だ。生活様式の違いから、台湾と日本では家の中の構造が細かいところで異なる。しかし、台湾の土地の高騰、経済の停滞などにより、日本円にして何億円もする超高額なマンションが徐々に売れなくなってきているため、1戸あたりのスペースを小さくすることで販売価格を抑える傾向にある。そのとき、日本のノウハウが役に立つという。例えば、キッチンの床下収納。日本では当たり前の設備だが、台湾の場合、コンクリートにタイル張りの床なので床下にスペースが作れない。そこで、ES社では日本のような二重床構造を提案している。これにより床下収納スペースが作れるだけでなく、水道管のメンテナンスも容易になるというメリットがある。
玄関も日本とは異なる。台湾の場合、玄関を入るとすぐにリビングになり、そこに靴を置くと臭いが部屋に充満するため、靴は玄関の外の共用部分にむき出しで置かれる場合が多い。
しかし、これが美観を損ねるとの理由で禁止するマンションが増えていることから、ES社では狭いスペースでもたくさんの靴が収納できる回転式のシューズラックを開発した。このほか、和室の畳下収納や天井裏収納など、狭い住宅で快適に過ごすために発明された日本の仕組みを台湾で導入し、ここから徐々に他アジアに広げていきたい考え。
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