「パナソニックES社」が台湾にこだわるワケ

アジアの住宅ビジネスモデル変革に挑む

台湾では一般住宅に手すりをつける習慣がなく、一般的な手すりは嫌われる。そのため、一見すると飾り棚や照明に見えるデザイン性の高いものが好まれる(筆者撮影)

3つめのキーワードである「高齢化」は日本同様、台湾も深刻で、2061年には65歳以上の占める割合が38.8%に上ると見られている。すでに少子高齢化は始まっており、エイジフリーの住宅設備に対するニーズが徐々に拡大しているところだ。

ES社でも、デザイン性の高い手すり、車椅子用に前後どちらからでも押して開けられるドア、車椅子でも使える洗面台のほか、マンションの床のフラット化や車椅子でも傷つきにくい床材の提案を急いでいるところである。

日式で存在感の拡大を狙っているES社だが、課題もある。先述したように、台湾のマンションはスケルトン販売なので、内装業者は各部屋の設備を数あるメーカーの中から一つひとつ選んでいくのだが、全体的なデザインは内装業者任せとなり、ES社が狙うトータルな生活提案ができない。下請けの下請けでは、パナソニックならではの家造りができないのである。そこで今、同社はグループを挙げて家造り事業に取り組み始めた。その中心となるがパナソニック ホームズだ。

車椅子でも利用できるよう、足元にスペースを設けた洗面台(筆者撮影)

同社は当初リフォームを中心とした内装事業から台湾市場に進出したが、現在では台湾、マレーシア、インドネシアにおいて合弁会社を設立し、建築請負事業もスタートしている。デベロッパーからマンションの建築を請け負うものだが、全体的なコンセプト、デザインはデベロッパーが決める。そのため、一昨年からはデベロッパー事業にも手を広げ始めた。これにより、マンション全体から内装までトータルで設計できるようになる。

「街づくりも含めた分譲事業を手がけていく。パナソニックグループの商材をふんだんに使い、日式のよさをアジアに広めていきたい」(パナソニック ホームズの田中一彦執行役員)

アジアでスマートタウンの建設も

台湾はマンション開発がメーンだが、マレーシアとインドネシアではW-PC工法による一戸建て住宅、および大規模スマートタウン事業も始めたところだ。W-PC工法とは、建設現場でプレキャストコントロールパネルを製造し、その場で組み立てて造る構法で、レンガ積み住宅が一般的なアジア地域向けに開発したものだ。これにより、建築労働者のスキルレベルに左右されず一定の品質を維持できるほか、レンガ造りに比べて強度は2倍、建設期間は3カ月も短縮できる。マレーシアでは、建築中を含め、現在までに累計1444棟の戸建住宅建設を請け負った。

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