みなとみらいの不動産価値が「落ちない」理由

希少性という観点では首都圏最強レベル

横浜エリアでの海の見える価値は東京でのそれよりも高く、価格に大きく反映する。写真は「ブランズタワーみなとみらい」からの眺望(写真:ケン・コーポレーション提供)

言うまでもないが、モノの価値は希少性、すなわち需要と供給のバランスで決まる。いくらでも手に入るモノの価値は下がるし、欲しいけれど手に入らないモノの価値は高いまま。不動産も同じで、増えないことが資産価値の維持につながる例がある。現時点で首都圏の好例といえるのが、みなとみらいである。

みなとみらいの話に入る前に、首都圏で2018年以降に完成が計画されている超高層マンションの数をみてみよう。不動産経済研究所の調査によると、181棟・8万0303戸が供給される予定で、最も多い東京23区では123棟・5万4470戸が建つ。そのうち50階以上あるタワマンの半数ほどが湾岸エリア、2棟が武蔵小杉に建てられる。

取引価格は15年前の約1.5倍に

一方、希少価値が不動産価格上昇につながるのは、みなとみらいを見るとわかる。1983年に開発が始まったこの地域で最初に3棟のタワーマンションからなる「M.M.タワーズ」が竣工したのは15年前の2003年。その頃の首都圏新築マンションの平均価格は約4000万円だったが、それが現在では6000万円近くに上がっている。M.M.タワーズのうち2棟も新築並みに上昇しており、現在の取引価格は分譲時の約1.5倍。最近の中古物件でいえば70~80㎡の2LDK~3LDKが7000万~9000万円で、条件がいいと億越えもあるという。

分譲が始まった2001年、そして竣工した2003年は不動産市況が厳しい時期。みなとみらいは大半が更地で、みなとみらい線もまだ開通していなかった。そのため、「当時の坪単価200万~300万円は周囲の150万円に比べて高値と言われていましたが、開発が進んだ結果、中古となった現在は320万~330万円は普通。高層で海が見える部屋では450万円ということもあります」(ケン・コーポレーション横浜支店)。

みなとみらい地区内の物件価格は軒並み値が上がっている(筆者撮影)

M.M.タワーズだけではない。みなとみらい地区内には10棟の分譲マンションがあるが、2015年に分譲が開始された2棟を除けば、ほかの物件も軒並み3~4割近くは上がっており、高くても2割強という武蔵小杉の上昇率に比べると優位は明らか。賃貸2棟の稼働率も高く、特に25階以上、賃料50万円以上の部屋はほぼ空きがない状態が続いている。

この理由は需給バランスだ。需要は伸びている。「2011年の東日本大震災の後、日本はエネルギー政策を見直し、海外にプラントをトップセールスした結果、横浜に本社を置くプラント系企業の売り上げが拡大。住宅ニーズを押し上げたのです」と、前述のケン・コーポレーション担当者。

一方で供給はもう増えない。みなとみらいは当初から居住人口を1万人以上にはしないとしてきた。人口が増えると小・中学校や図書館など公共施設の整備が必要になるためで、横浜市がこれを嫌ったのだ。実際、30~40代の子育て世帯も多く居住しているにもかかわらず、小学校、しかも定期借地権利用で10年限定の分校ができたのは2018年になってから。また、人口をあまり増やさないことで、プレミア感を狙ったという声もある。

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