特に、中国や中近東のような富裕層の多い市場では、「高いから売れる」というプレミアムブランド戦略が効くケースがあります。
たとえば、中国ではスタバだけでなく、「高級輸入車の値段が世界一高い」という話もよく聞きます。中国で売られている外国車の大半はJV企業が中国で生産したものですが、たとえばBMWで言うと、7シリーズはドイツ生産のクルマを輸入販売しています。輸入する際には、代理店コスト、輸送費、関税などがかかってきますから、当然、ドイツでの値段よりも割高になるのですが、実は中国の富裕層は「メンツ消費」が多いので、購入価格は高いほうが周りに自慢できる、というヘンな傾向があります。買い手のほうが「高くないと意味がない」と思っているので、それに対応した値付けがなされているのです。
ブランドを民主化したアメリカと日本
もともと「ブランドを所有する歓び」は、ヨーロッパのファッション、ジュエリー、時計、車、化粧品などに代表される、売る相手を富裕層に限定するプレミアム商品しか提供できないものでした。
このような「高価で庶民には手が出せないからこそのブランド」という概念を、大衆に開放したのがアメリカ企業です。コカ・コーラやディズニーに始まって、マクドナルドやナイキやスターバックスなどが、商品の機能的価値に加えて、デザインやストーリーやビジョンなどのブランドメッセージをグローバル市場に広めていきました。そして、トヨタ、ホンダ、ソニーをはじめとするニッポンブランドも、アジア発のグローバルブランドの創造に成功しました。
アメリカや日本の企業が、一部地域の特権階級のものであった「ブランド体験」を、グローバル市場の中間層へと民主化した功績は、高く評価されるべきだと思います。少々値段は高くても、スターバックスでのブランド体験におカネを払う中国人も、こうした「ブランドの民主化」の恩恵にあずかっているのだと言えそうです。
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