問題だらけで年越し「中東」は2019年も危うい

サウジもシリアも問題は片付いていない

シリアからアメリカが撤退することは、シリア内戦にどんな影響を及ぼすのか(写真:Rodi Said/Reuters)

地政学的なリスクを抱える中東の情勢は、原油相場を揺さぶり、ガソリン価格にも直結する。2018年には、内戦が最終局面にあるシリアや、アメリカのドナルド・トランプ政権が経済制裁を再発動して経済的に窮地に立たされたイラン、著名サウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏の殺害事件で動揺したサウジアラビアが中東をめぐる話題として騒がれた。

年末にはトランプ大統領が突如、シリアに駐留してきたアメリカ軍部隊の撤収方針を表明した。撤収によって、過激派組織「イスラム国」(IS)の脅威が再燃する懸念もあり、2019年も波乱含みとなりそうだ。

偶発的な衝突や判断ミスによっては

2019年に焦点となりそうなテーマは、2018年に引き続き、イスラム教の宗派間対立が絡んだサウジアラビアとイランによる中東での覇権争い、レバノンやシリアを舞台にしたイスラエルとイランの衝突、アメリカ軍撤収後のシリア内戦の展開だ。いずれの問題も絡み合っており、偶発的な衝突や判断ミスが重なれば、複数のプレーヤーを巻き込んだ中東大戦争に発展しかねない。

国別では、実権を握るムハンマド皇太子がカショギ氏殺害事件に関与したとして疑惑の目が向けられたサウジアラビアや、アメリカと外交的に対立したトルコの動向が焦点。アメリカ軍撤収により、中東でのアメリカの影響力が一段と低下し、ロシアが存在感を高めるだろう。

地政学的なリスクになりそうなのが、原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡だ。トランプ大統領がイラン核合意の破棄に動いたのは、オバマ前政権下の合意をことごとく放棄するという政治スタンスに加え、核合意がイランの弾道ミサイル開発の制限を対象にしておらず、過激派やゲリラに対する支援活動も野放しで欠陥だらけだとの判断がある。イランを宿敵とするイスラエルやサウジアラビアもこれに同調して、トランプ大統領の核合意の破棄を歓迎した。

イランは、欧州連合(EU)に核合意の存続を働き掛け、中国やトルコなどに原油輸出を継続することで制裁を乗り切る構え。だが、2018年夏には、ホルムズ海峡を封鎖する可能性があると警告し、国際社会を揺さぶった。イランが暴発すれば、原油相場が高騰するとのメッセージを送る狙いがあった。

カタールには、1万人を超す兵士が駐留するアメリカ軍基地があるほか、バーレーンにアメリカ海軍第5艦隊の司令部が置かれている。イランがホルムズ海峡の封鎖に乗り出せば、圧倒的な軍事力を持つアメリカ軍の反撃を受けることは目に見えている。

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