それでは、恒例の私の野球人生の振り返りを。今回はなんともタイムリーなことに、そんな岩隈投手とともに頑張った、楽天草創期の続きです。(前回記事:「楽天イーグルス」はいかにして誕生したのか)
楽天に移籍が決まったメンバーとチームスタッフで新球場(現・楽天生命パーク宮城)の視察を終え、その足で仙台市内のホテルに移動して、顔合わせの挨拶やミーティングなどの結団式を行いました。
チーム全体として全員が集まったのは東北楽天ゴールデンイーグルスが誕生して初めてのことでした。メンバー構成としては同じリーグに籍を置くオリックスと近鉄の選手が過半数だったのですが、近鉄所属だった選手はさておき、オリックス側には大変失礼ながらまだ一緒にプレーしたことのない、顔と名前の一致しない選手もおり、彼らに「はじめまして、一緒に頑張ろうな!」と声を掛けました。
首脳陣の方々も田尾監督をはじめ、新しくお会いする方も多く「礒部です、よろしくお願いいたします!」と頭を下げて回ったのを覚えています。
結団式を終え、その足で向かったのは仙台市役所そばの市民広場でした。
ここでは握手会等のファンイベントが開催されました。そこにはすでに約1000人の方々が待っていてくださったのです。
東北の地に球団ができるという実感が高まっていった
東北という地に球団ができるという実感は、日に日に高まっていました。しかし、やはりファンの方々の顔を直接見せていただくと、さらに引き締まる思いでした。こうして、一つ一つの会やイベントなどを経ていくごとに、責任感や自覚を徐々に積み重ねていっていたように思います。
しかし、さらに正直に言えばこのとき、湿気た感傷に浸っているような暇はありませんでした。
プロ野球は開幕日が決まっています。その開幕に間に合わせるように、すべてのことが猛スピードで過ぎ去っていくのです。私は開幕まで、いや昨年ユニフォームを脱ぐまで、ノンストップで走る特急列車に乗り込んだのと同じでした。逆に日々のルーティーンをこなすことで、なんとか平常心を保っていたような節もあります。
ここまで話しておいて恐縮なのですが、あまりに嵐のような日々だったため、ところどころ記憶が定かではないところもあるくらいです。記憶力には自信のあるタイプなんですが、そんな私でさえ混乱してしまうくらいの日々でした。
仙台での結団式を終え、平成16年11月13日、いよいよ東北楽天ゴールデンイーグルスとしての第一歩となる秋季キャンプが、今はなき藤井寺球場にてスタートしました。メンバーは総勢40人ほど。近鉄・オリックスが中心の構成になっているため、関西圏でのキャンプになったのです。
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