旧態依然の医療とは違う複合予防施設の正体 北陸で進む挑戦が革命を起こすかもしれない
検査で得られた個人のデータは、各セクションで共有される。あらゆる病気のリスクの根源となるのは、食事と運動だ。検査によって判明した必要な栄養素は管理栄養士による栄養サポートやサプリメントの服用で的確に補えることができる。そして難しいのが運動だ。
「たとえば糖尿病であれば運動は必須だということはわかりますが、どの程度やれば適切なのかまではなかなかわからない。ジムに通ったとしても、大抵の人が長続きしないのは『せっかく来たんだから』『お金払った分の元を取ろう』と、頑張りすぎてしまうからです。僕も昔、フィットネスジムに通っていました。トレーナーに“頑張れ、頑張れ”と励まされ頑張りましたが、次の日には酸化ストレスで、ぐったり。シニア世代ほど根性の運動をやってきた人たちですから頑張りすぎてしまうんですね。
でも、日常生活の健康を保つことを目的とするなら、頑張りすぎることは害にしかならないんですよ。自分に合った適切な運動量をやってこそ抗酸化療法になるわけですから、その適切な量を効率よく提唱できるトレーナーの存在が重要になってきます」
適切な運動量の見極めがカギ
現代社会において、個人の健康状態を最も把握している“他人”がパーソナルトレーナーだという。その重要性を改めて認識したスコールは、年明けからは、プロ野球選手をはじめとした各競技の一流アスリートが複数通う、東京の会員制パーソナルトレーニングジム「デポルターレクラブ」と提携をはじめることを決めた。
「今、うちにある医療・食事・癒やしという大きな歯車の中で、最も重要なハブになるのがパーソナルトレーナーだと考えています。人間ドックの先生であれば年に1度、かかりつけの医者がいても、身体に不調がなければ会うことも少ないですし、看護師ともそこまで仲良くはなれません。ですが、ジムでトレーニングを見ているパーソナルトレーナーは、週に1度1時間ほどの時間を一緒にいる。これは家族や会社の同僚の次ぐらいに顔を合わせる個人的な関係であり、そのタッチポイントが果たす役割がとても重要になるんですね。
デポルターレさんは、プロのアスリートから最高のパフォーマンスを引き出すため、あらゆる手段を持っている一流のパーソナルトレーナーです。彼らであれば『今日は動きが悪い』『変な汗が出ている』など、ちょっとした身体の変化を察知することができますし、コミュニケーションが上手に取れれば『最近、背中が痛いんだよね』というサインも得られる。そこに事前に検査で得た疾患やリスクなどのデータが共有できていれば、ブレーキも踏みやすいですし『◯◯の可能性があるので、ちょっと下で診てもらいましょう』と、タイムリーに対処することが可能になるんです」
医療とトレーニングが連携するメディカルフィットネスは、ひと昔前から大手フィットネスクラブも提唱するなど、その考え方自体は目新しいものではない。しかし、これだけ理想的な健康へのアプローチができるのに、未だに定着したとまで言えないのが現状だ。そこにはどんな問題があったのだろうか。
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