旧態依然の医療とは違う複合予防施設の正体 北陸で進む挑戦が革命を起こすかもしれない
「全国には同じような試みをしている病院もあります。スコールを作る前に類似の施設を視察しに行ったのですが、現実はなかなか上手くいっていない。いちばん大きな問題は、医者が理解しようとしないこと。どこも言わば病院目線なんです。お医者様が上にいて、『ダイエットが必要です。よろしく』とトレーナーに丸投げする状態。トレーナーが情報を上げて聞いてもどうすることもできない。“医療とは究極のサービス業である”と捉えているかどうかですよ。
ほとんどの医療や介護は、自分たちの都合でやりやすい方向にばかりに寄っている。そこが変わらない限り、医療の現場は変わらないでしょう。患者さんの立場に立った考え方ができるかどうかだと思います」
サービス業という点においては、スコールはホスピタリティの面において一流ホテルを意識している。森をイメージした内観、JR西日本不動産開発の協力の下で採掘された天然温泉、アロマトリートメントなどでもたらされる精神的な“癒やし”も、健康には欠かせない要素だ。
医師もトレーナーも栄養士も、健康を守るサービスとしての目的は同じ。東京のデポルターレクラブもパーソナルトレーニングと連動してヨガやピラティス、鍼灸治療も行う考え方がよく似たクラブである。スコールとデポルターレの提携は、これまでの施設内にある横のつながりが、健康に対する同じ志を持った外部の施設や団体などとのつながりに広がりつつあるという証でもあった。
課題は一般使用者への”予防医療”の認知
「魚津ではじめて10年。最初は点と点だったものが、やってきたプロセスの中で“横の連携が大切だ”という概念の下に、みんなが線となり同じ方向を向けるようになりました。経営的にも何とか運営できています。この『スコール』がビジネスモデルとして成功できれば、『うちもやってみようか』と統合医療の波は広がっていく。日本にもこのままじゃいけないと熱い志を持っている先生方は沢山いらっしゃいます。
『東京でやりたい』と投資家の方を連れて視察にこられた先生もいらっしゃいますし、先日も長野県の飯山市から地域の健康と町おこしも兼ねて、観光資源を使った滞在型の統合医療施設を作りたいという打診もありました。その一方で、利用する人は、アンテナが高いからこそ、東京や遠方から興味をもって来られますが、おそらく金沢ではほとんどの方が『クリニックとフィットネスジムが同じ建物の中にある』ぐらいの認識だろうと思います。
実際に風邪の症状で保険診療を希望される方に、薬を使わず保険も効かない血液フォトセラピー(紫外線療法)などの自由診療を提案しても、すぐには受け入れてもらえません。一つひとつ体感して、いいものだと理解し、お金を払ってでも選択してもらうにはまだ時間が掛かるでしょうね。どこまで走れるかわかりませんが、ここまでと決めたら、そこまで。やれるところまで頑張ります」
このスコールという予防医療の箱舟が行きつく先はどこなのか。わが国に健康革命が起きる可能性が高まっている。
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