ノーベル賞を獲る人になぜか共通する「趣味」

アートと科学の意外な類似点とは一体何か

なぜ科学者はアートに惹かれるのだろうか。偉大なアーティストは科学者同様、人の脳について何かを理解している。理解していなければ、私たちの脳を刺激して作品のとりこにすることはできないだろう。

サイエンスは「系統立った、データ重視の、言葉や数字に基づいた分野で、問題の解決には数学的ツールが使われる」と考えられることが多い。しかし、歴史やさまざまな研究を見てもわかるように、科学者は研究に取りかかる前に、それがどのようなものになるか、頭の中で「見ている」のだ。さまざまなアートに関わることで、さまざまな「見る」方法が身に付くからである。

アーティスト・科学者はクリエイター

人が美術や音楽に触れて美しいと感じるとき、脳の中で何が起きているかを研究する新しい学問分野が生まれている。それによると、素描・絵画・写真をはじめとする2次元の視覚芸術は、問題解決能力を養うのに適しているとされている。また彫刻のような3次元のアートは、非言語的思考とつながりがあり、空間やプロセス、質感、動きに対する理解を深めると考えられている。

こうしたことを知っても、とくに驚きはしない。成功を収めた科学者が、「言葉や数字より、想像力を創造的にはたらかせるほうが重要だ」といつも語っているからだ。たとえば次に示すのは物理学者アルベルト・アインシュタインの言葉である。

「想像力は知識より重要だ。知識には限界があるが、想像力は世界を包み込む。そして進歩を促し、進化を引き起こす」

これは、科学者にもそうでない人にも当てはまる。これからは、アーティストや科学者を「クリエイター」としてとらえるのがよいだろう。「新しい才能や革新的な科学者を採用しよう」「能力のある社員をもっと鍛えよう」と思うなら、アート、哲学、瞑想など、心と体を再生させるものに深く関わっている人物を選ぶべきである。

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すばらしい業績を挙げた科学者とそうでない科学者の知的能力はそれほど変わらない。彼らの分かれ目は、思考する際にさまざまな思考過程、たとえば、視覚的・運動感覚的・言語的過程をたどっているかどうかにある。

本職や本来の研究分野と「無関係」な領域にエネルギーを分散させるのは、焦点が定まっていないように思えるかもしれないが、こうすることで多種多様な知識やスキルが身に付くのである。

もちろん、研究の対象となった科学者が、アートによって認知能力を高めたのか、すでに持っていた能力を使っただけなのかははっきりしない。だが、アートに関わることで科学的成功を収める可能性が高まることはわかった。

これを踏まえて、私たちは今日の教育システムについて改めて考え、教え方や次世代のイノベーターたちが使っているテキストを見直す必要があるだろう。

私はこんな言葉を聞いたことがある。

「科学者は人が世界を理解するのを助ける。アーティストは人が理解することのできる世界をつくり出す」

アートかサイエンスのどちらかの世界にいる人は、この2つの世界の相違点ではなく、類似点をはるかによく理解している。アーティストや科学者は、確かに現実離れしているかもしれない。深遠な問題について考え、頭の中に想像の世界をつくり出すからだ。彼らはその内面において、実によく似ているのだ。

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