ノーベル賞を獲る人になぜか共通する「趣味」

アートと科学の意外な類似点とは一体何か

アートとサイエンスが生み出そうとしているものは異なるが、生み出すまでの過程は驚くほどよく似ている。想像、直感、実験、探索、満足、失望……。アーティストも科学者も、こうしたことを繰り返しながら何かを創造するのである。

20世紀後半に行われた数多くの研究は、アートとサイエンスの間に直接的なつながりがあることを示している。美術のような別の分野にも関わっているほうが、科学的成功を収める確率が高いという統計結果が出ているのだ。

12月10日はアルフレッド・ノーベルの命日であり、毎年この日にノーベル賞の授賞式が行われる。これに関連した話を1つ紹介しよう。

アートに関心を持つ人は3倍

アメリカのミシガン州立大学生理学教授、ロバート・ルート=バーンスタインは、アートとサイエンスの関係をテーマに研究を続けている。数々の研究論文や著書の中で彼は「サイエンスとアートには相互作用がある」と指摘している。それを裏付けるのが、ノーベル賞受賞者とほかの科学者のバックグラウンドを比較する研究だ。

この研究は、「サイエンス分野での成功」と「アート分野での活動」に関連があるかどうかを調べる目的で行われた。そして、もし関連があるなら、アートが科学的成功にどのように影響するかも明らかにしようとしていた。研究の対象となったすべてのノーベル賞受賞者の中には、絵画、楽器演奏、写真、演劇、ダンス、デッサンなどのアートに熱心に取り組んでいると自ら述べる人たちもいた。

研究の結果、アートは科学者の成功に関係があることが明らかになった。ノーベル賞受賞者には、ほかの科学者や一般の人々に比べて、アート関連の趣味を持つ人がほぼ3倍もいたのだ。「ノーベル賞受賞」という事実に示されているように、彼らは各々の分野を極めているが、さらに、幅広いスキルも身に付けていたのだ。ルート=バーンスタインらは、彼らの芸術的創造性が実験能力を高め、研究にもプラスにはたらくのではないかと結論づけた。

研究では、ノーベル賞受賞の確率がアートの種類別にも調べられた。その結果、絵画・彫刻などの視覚芸術を趣味にしている人たちは、ノーベル賞受賞の確率が7倍になっていることがわかった。写真は8倍、演劇・ダンス・奇術などのパフォーマンスは実に22倍である。驚くべき結果だ。

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