(第21回)就活前調査でのテレビ局の人気ぶり

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(第21回)就活前調査でのテレビ局の人気ぶり

採用プロドットコム株式会社
 すでに報道や各種の調査レポートなどでご承知のとおり、売り手市場が続いていた就職・採用戦線が一変している。2010年度入社の就職・採用戦線に本格的に入るや、2009年度入社の内定取り消しが頻出していることから、学生や大学関係者は危機感を抑えきれない状況である。

 2009年の就職採用戦線はバブル期以来、“史上最高”とまで言われた売り手市場だった。いわゆる人気企業に“ひょっとしたら自分も入社できるのではないか”という期待を抱きながら大手志向を捨てきれずに就職活動をしていた学生も数多くいた。
 ある準上位私立大学のキャリアセンターによると、リーマン破たん前夜の10月1日直前に未内定者が2割超も存在しており、大手志向に偏在していた学生の志向を裏付けていた。それが急転直下、暗雲が就職戦線に垂れこんだ状況になった現在、2010年の就活戦線に挑む学生は、現在の状況をどのように捉えているのだろうか?

 過日、東洋経済新報社から発表された「就職人気企業ランキング100--2010年卒業生が選んだ就職したい会社」(調査主体:文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所)の調査結果から2010年の学生志向について考えてみたいと思う。
※図の出自はすべて週刊東洋経済2008年11月15日号「速報 人気ランキング100」

●全体ランキングトップ20社にマスコミが8社ランクイン

 まず、今回、発表されたランキングは“就活前”というタイトルが冠されているように、調査期間が夏休み前からリーマン破たん直後までの4ヵ月半の極めて長期にわたって実施されたものであることに留意する必要がある。
 つまり、ランキングを決定する投票は「どの企業のインターンシップに申し込みをしようか」と悩んでいた夏休みから投票の受付を開始、世界的金融危機のきっかけとなったリーマン破たん直後の10月19日までの長期間にわたって収集・集計されたものなのだ。
 投票が期間内に平均的になされたとは考えにくい、つまり学生の就職や景気に対する心理状態は一定ではなかったと考えるのが妥当といえる。ランキングは就職に対する波風がまだ表面化していない時期と、“サブプライム危機が自分たちの就職活動に何らかの影響を与えそうだぞ”という雰囲気が出てきた時期が混在した結果だというわけだ。

 そのような事情を念頭に置いて、ランキングを見てみる。文理・男女をあわせた全体ランキングの1位はフジテレビ、次いで2位に博報堂、3位は電通といういわゆるマスコミが上位を占める結果になっている。
 20位以内には他にもテレビ朝日(6位)、日本テレビ(10位)、TBS(19位)と在京キー局が軒並みランクインしている。また、集英社や講談社といった出版社もそれぞれ9位と11位に食い込んだ。
 他業界に比べて高い報酬、華やかな業界イメージも手伝い、いつの時代も学生の人気を集めてきたマスコミ業界。なかでもテレビ局は、2011年7月からの地上デジタル放送への移行にともなう莫大な設備投資を強いられることは周知のとおりで、現在、各局はこぞって株式上場を果たした。あえて言えば株式を一般公開することによって、“普通の会社”になったテレビ局だが、透明化された経営内容から見えるのは、「コストが増大しているにもかかわらず広告収入が減り、経費削減がなかなか追いついていない」という現状だ。
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