(第21回)就活前調査でのテレビ局の人気ぶり

●稼ぎ頭のスポット広告が減少将来的には経営リスクも…

 ランキング投票の締め切りからおよそ1ヶ月経った11月13日に出そろった在京民放キー局5社の平成20年9月中間連結決算が出た。
 景況感の悪化により利益率の高いスポット広告が大きく落ち込んだことが響き、3社が最終減益、日本テレビとテレビ東京の2社が赤字決算を発表した。売上高は日本テレビを除く4社が増収だったが、本業の放送事業では番組の前後に流される「スポット広告」の不振が際立ち、5社の収入は前年同期比9.6~11.7%の大幅減となった。

 現状だけではない。将来的に見ても、テレビ局は経営の屋台骨を揺るがしかねないリスクを抱え込んでいる。例えば1993年から導入された電波利用料は、原則としてすべての電波を使用するために必要な料金で、省庁などの行政機関が無線免許を持った個人ユーザーやタクシー事業者からも徴収しているものだ。平成19年度の電波利用料収入は653.2億円。そのうち80%を携帯電話会社が負担しているが、放送事業者は周波数帯域でいうと携帯電話会社の約1.4倍も利用しているにもかかわらず、電波利用料は暫定追加電波料をあわせても合計38億円にすぎない。
 携帯電話の料金を負担しているのは、最早95%という普及率からいえば一般国民であるだけに、もしこの不公平感に本格的なメスが入るようなことがあれば、テレビ各局は莫大なコスト負担は避けられない。

 1993年以降、放送と通信は国民が使いやすいツールやインフラとして融合が進み、その幅を大きく広げたように思えるが、実際のところはまだまだ模索状態が続いているのが現状だ。つまり、テレビ業界は社会の公器という大義名分が足かせになり、手厚く保護された国内産業という器から脱し切れていないという側面を持っているのだ。
 放送と通信の融合を目指し、クロスメディア戦略を生き残りのキーワードに掲げるテレビ局。通信との競争ではなく、融合を図らねばならないのは、単にコストやビジネスの問題なのか、管轄官庁の問題なのか、勝ち目のない競争はできないのか、テレビ局に憧れる学生の皆さんは、今後、就活を進めるにあたり、経営のマイナス要素も踏まえて考える必要がありそうだ。

 また、テレビ局が通信と放送の融合を持ち出すときに必ず話題になる“コンテンツ”についても、近年、急速に国際化が進んだのは、保護型の産業ではない出版社であることも皮肉な話だ。放送と通信の融合=インターネットによる新事業展開とは、飽和状態の国内市場から一歩を踏み出し、電波の届かない海外で、どのように戦略的な事業を展開するかということを意味する。テレビ局が誇る豊富なコンテンツをどう生かすのか、海外メディアとの提携も含め、テレビメディアは大きな曲がり角にきている。
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