1本500円の低価格ワインを美味しく選ぶ方法 値段よりも産地よりも「保管環境」を見よ!

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ワインと言えば苦い体験がある。

いつも安ワインを飲んでいる筆者に、たまにはよいものを選んであげようと家族がワイン専門店に買いに行ってくれた時の話だ。店の人に筆者の好みを伝えようとしたが、うまく説明できない。そこで、店の人が「普段はどこの産地のワインを飲んでいるんですか?」と聞いてくれたので、それならばと「チリ産を美味しいと言って飲んでいます!」とにこやかに答えたとか――。後からそれを聞き、それだけは言わないでほしかったと脱力した。お店の人の表情が、どんな様子だったかは想像に難くない。

庶民の味方チリワインはなぜ安いのか?

別にチリワインが悪いワインなわけではない。低価格ワインの代表だが、十分美味しいと思う。先のメルシャンの資料でも、国別にみた輸入ワイン(スティルワイン)数量では、フランスやイタリアを押さえてチリがトップ。2017年のチリワインの輸入数量は約5.6万キロリットルで、3年連続で国別輸入数量第1位なのだとか。

チリワインが安く手に入る理由には、2007年に結ばれたEPA(経済連携協定)により関税が引き下げられたため、チリからの輸入量が一気に伸びたことがある。2019年には関税がゼロになる予定で、いっそう価格が下がることも期待できる。

また、現地大手ブランドのワインの場合、チリからバルクで大量に運んできて、瓶詰めは日本で行い、そのまま全国の販売ルートに乗っていくという話もある。瓶で運んでくるより輸送コストが安くなるため、価格を抑えられるわけだ。

スーパーの売り場では、イオンやセブン&アイなど大手流通が各国から直輸入しているワインもよく見かける。中間コストが省ける分、お手頃価格に設定できるのだろう。

かくして、店頭には500円程度のお手頃ワインがずらりと並ぶというわけだ。

ワイン選びというと、まずヴィンテージ(ぶどうが収穫された年)を見て……というイメージがあるが、そのあたりはどうだろう。知人のワインジャーナリストに聞いたところ、スーパーやコンビニの売り場ではあまり重視しなくていいのでは、と言う。そういう売り場では、まずじっくり寝かせてから飲むようなタイプのワインではなく、買ってすぐ栓を開ける商品をそろえているはずだからだ。2016年、2017年でも十分美味しく飲めるし、特に白なら若い年代のフレッシュな味を楽しむほうがお勧めだとか。

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