自己紹介が記憶に残らない人と残る人の大差 石川善樹が考える「自己紹介」の奥義
石川:その『モーニング』のメソッドが、最強の自己紹介とどう関連してくるのか。では、福井先生よろしくお願いいたします。
福井:はい。本日は、『モーニングと一緒に考えた、平凡な人が共感される自己紹介術』ということでお話をさせていただきます。
ヒットマンガにある「一定の法則」とは?
『モーニング』というのは、先発エースではなく中継ぎ投手(=「グラゼニ」)、宇宙飛行士ではなくゴミ拾い屋(=「プラネテス」)といった具合に、ヒーローではない主人公が多いマンガ雑誌です。なのに、多くの読者に共感されているのはなぜか。ヒットマンガの主人公たちの共通点から、多くの人から共感されるコツを導き出して、これからの時代の新しい自己紹介を導けないか、という考察を行いましたので、かいつまんでご紹介いたします。
通常、自己紹介といったらこんな感じだと思います。
「入社は○○年で、はじめは△△の部署に配属され、その後□□の部署を経て、2年前から☆☆の部署におります」
これだと、「はぁ、そうなんですね」としか言いようがありませんよね。こうした儀礼的な自己紹介では、「理解」はされても「共感」はされないわけです。でも、自己紹介の場を儀式的なものではなく、チャンスと捉え、形式的に「理解」してもらう場から、人から「共感」までを獲得する場へと変えることができたら、どうでしょう。
そしてそこに、多くの人から「共感」されてきたヒットマンガに共通するナレッジを活用できたとしたら、自己紹介の仕方を変えるだけで、ヒットマンガの主人公のように「誰もが共感する物語」が動き出し、人生が大きく変わり始めるかもしれません。
ということで、あなたの物語が動き出し、みんなから物語ってもらえる自己紹介術を、『モーニング』のヒットマンガから導き出してみたいと思います。
今回僕は、35年の歴史のなかから、代表的なヒットマンガを『モーニング』編集部の方々にご推薦いただき、昼夜を問わずひたすら読み続けました。数百冊に及ぶマンガをひもとき、共感されるヒットマンガの主人公たちを見つめていくことで、それらのマンガが持つ「一定の法則」を発見しました。