自己紹介が記憶に残らない人と残る人の大差 石川善樹が考える「自己紹介」の奥義
福井:つまり、「何かのために、何かと闘っている」という対立構造を持つ人ほど、共感されやすいわけです。これをまとめると、最強の自己紹介の基本形は、「私は、『根源的欲求』のために、『阻害要因』と闘います」となるわけです。人生をテコ入れする物語が生まれる自己紹介に必要なのは、対立を明確にすることだったのです。
これをもう一歩進めると、「世の中の中心にいない人ほど、中心と対立できて、共感されやすい」と言うことができると思います。平凡こそチャンス。周辺こそチャンス。そこから作る対立は、いますごい人より、何倍も大きく、魅力的に見えるはずです。
経歴を語るのは止めましょう。これからは対立を語りましょう。それが、僕が『モーニング』から導き出した最強の自己紹介術のメソッドです。
『まんが日本昔ばなし』を参考にする
石川:福井先生、どうもありがとうございます。共感されると、自分の人生(物語)が動き出すということですね。そして、平凡な人が非凡な物語を描くために必要なのは、対立・葛藤・展開だと。おもしろい。
僕はさらに、「平凡な人が平凡な人生を送っても語り継がれる」というケースについて話をしてみたいと思います。冒頭でも話しましたが、「最強の自己紹介」とは、自分がいないところでも自分のことが語られる状態を作り上げることだと思います。それはつまり、「キャラが立つ」ということでもあると思います。キャラが立つと、たとえその人が目の前にいなくても、その人がある状況に陥ったとき、どう考え、どう行動するかが想像できるようになりますからね。
でも、平凡極まりない我々がキャラを立たせることなんて、なかなか難しいわけです。そこでお手本にしたいのが、『まんが日本昔ばなし』です。『まんが日本昔ばなし』の特徴は2つあって、ひとつは「登場人物が平凡すぎること」。
「桃太郎」のおばあさんの名前なんて、誰も知りませんよね(笑)? そしてもうひとつの特徴は、話の展開が同じ過ぎる点です。「むかし、あるところに……」(=起)、「ある日……」(=承)、「ところで……」(=転)、「それからというもの……」(=結)という構造から逸脱することは、多くありません。にもかかわらず、人々の心に残るのはなぜなのか。それを説明する前に、僕が大好きな「火男(ひおとこ)」をご覧になっていただきたいと思います(会場では「火男(ひおとこ)」を上映)。
