予備校講師でありタレントとして有名な林修氏が、あるTV番組で「世間には無能な管理職があふれている」というテーマを取り上げていました。その解説に登場したのが「ピーターの法則」。筆者には忘れることのできない社会学の法則です。
ローレンス・J・ピーター氏が著書『The Peter Principle』で提唱したもので、企業などの組織に属する社員たちが有能と評価され、能力の限界まで昇進するものの、その限界である階層において無能化し、機能しなくなるというもの。
先ほどのTV番組で林氏は、営業職をケースに売り上げ成績の高さで主任~管理職と昇進していくなか、大半の人はピーターの法則に陥ると指摘。番組では私見も含め賛否に分かれ盛り上がりましたが、改めて、昇進とは何を意味するのかを考える機会となりました。そこで今回はピーターの法則をどのように克服するか、について考えてみたいと思います。
違う能力が必要になる
「名選手、必ずしも名監督にあらず」……との名言がスポーツ界にはあります。例外はあるものの、野球界で活躍した選手が監督になって大成しなかったいうケースはあふれています。
選手として期待されるプレーと、監督に期待される采配に求められる能力には大きな違いがあるからです。
古い話ですが、スーパースターであった長嶋茂雄選手が引退して監督に就任した1年目のチーム成績は最下位。世間が「長嶋氏も格言どおりになった」と大騒ぎしたことを筆者は覚えています。
その後も同様の事象はよく起きていますが、つまり、スポーツ界にもピーターの法則が当てはまるということなのでしょう。これがビジネス界であればどうか? やはり、当てはまる場面にたくさん遭遇します。
先ほどの林氏の指摘は典型的で、昇進後に活躍できずに低迷する社員の多さに悩む人事部の話をよく聞きます。でも、どうして法則にはまるのか?
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