北朝鮮人が恋い焦がれる意外すぎる「職業」 医者の地位はあまり高くない
海外で高く売れそうな品物を北朝鮮国内で安く仕入れ、国外で売りさばく。反対に海外の寄港先では北朝鮮国内で高く売れそうなものを仕入れ、帰国時に換金するのだ。実際、海外で仕入れた商品は、ほぼどんな商品でも北朝鮮国内で高く売ることができる。
北朝鮮の船員は寄港地の物価について驚くほど詳しい。たとえば、中国に向けて航海するときは現地で高く売れる薬草や海の珍味を持っていき、北朝鮮に帰国するときは衣料品や家電などを持ち帰る。
船員という、一見あまり条件の良くなさそうな仕事に就くにも、出稼ぎ労働者と同じくすさまじい競争が存在する。袖の下を使うのは当たり前で、政治的なバックグラウンドも適切なものでなければならない。
靴下やフルーツの缶詰は口利きの見返りに
一方、上述した1つ目のグループ(入手困難な品物を手に入れられる職業群)の筆頭に挙げられるのが販売員だ。現代の資本主義社会では、販売員の地位や賃金は低く、半熟練の仕事と見なされることが多い。だが、北朝鮮は違う。ここでは販売員はエリートのための仕事なのだ。
公的配給制度(PDS)が全盛だった1960~1970年代に、販売員が持つ権力は頂点を極めた。当時、商品が店に配送されてくると、販売員は毎度のごとく一部を「差し押さえ」、知人や親戚、コネのある人物に高値で転売することができた。
靴下や中国から輸入されたフルーツの缶詰などは、実際に売られるのではなく、口利きの見返りに使われることが多かった。管理職となればなおさらだが、普通の販売員でも、たとえば新しく徴兵された甥が良い部隊に配属されるように手を回したり、家族が朝鮮労働党の党員になれるようお膳立てしたり、といったようなことは造作もない話だった。