北朝鮮人が恋い焦がれる意外すぎる「職業」 医者の地位はあまり高くない
「北朝鮮では、あの人はめちゃくちゃ羽振りがよかった。なんたって、運転手だったんだから!」――。ある脱北者が、こんなことを言うのを耳にしたことがある。北朝鮮で運転手が夢の仕事と考えられているのは、本当の話だ。
反対に北朝鮮では、誰かが「医者をしています」と言っても、周りから羨望の声が上がると期待してはならない。医者の地位はたいていどの国でも高いものだが、北朝鮮は違う。中学校の先生と同じような、普通のホワイトカラーの仕事としか考えられていないからだ。
「特権的」と考えられている仕事は
どのような仕事が地位の高い職業と考えられているかについては、北朝鮮と西側社会(当然、韓国も西側に含まれる)では目に見えて大きな違いがある。
もっとも、職業の相対的地位を測る基準そのものは同じだ。その善し悪しはさておき、職業の地位はたいていどの国でも収入、あるいは役得の多寡によってあらかた決まる。簡単にいえば、富と権力(少なくとも、そのどちらか)をもたらしてくれる職業が尊敬と憧れの対象になるということだ。
北朝鮮で「特権的」と考えられている仕事は、大きく2つのグループに分けられる。1つ目は、入手困難なものを手に入れられる職業群。2つ目は、ドルやユーロなど信用性の高い外貨を手にすることのできる職業群だ。なかでも、部分的ではあっても賃金が外貨で支払われる仕事は羨望の的になる。
まず2つ目のグループから見ていこう。ドルを手に入れられる職業ピラミッドの頂点にいるのは、もちろん外交官や諜報員、通商代表部の職員だ。しかし、その人数は少なく、ほとんどが上層階級の子息で占められている。このような職はどう見ても世襲であり、99.9%の北朝鮮人にとっては理論上、手の届かないところにある。
というわけで一般の見方を説明するには、それなりに普通の国民(「上位25%」といったところだろうか)がドルやユーロを手にすることのできる職業を見ていったほうがいいだろう。