直撃!「普通の人たち」が語る今の北朝鮮 金正恩氏の経済政策を称賛するが、実際は?
先日、平壌で北朝鮮の普通の人々にインタビューした。すると、アメリカのドナルド・トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長が「炎と怒り」をめぐってお互いを罵り合っていた出来事など、最初から存在しなかったかのような反応が返ってきた。
これまで平壌を埋め尽くしていた反米ポスターについて尋ねてみると、朝米の対話が続いている限り、そのようなポスターを目にすることはないだろうと、現地の人々は苦笑いしながら答えた。質問している外国人ジャーナリストたちは、反米ポスターが現地の工場でこっそり掲示されているのを確認しているのだが。
すべての回答は最高指導者をほめるところから
9月9日に金日成広場で行われた注目の軍事パレードで、北朝鮮指導部は大陸間弾道ミサイル(ICBM)を登場させなかった。軍事パレードに続いて行われたマスゲームのテーマも世界平和と国際親善だった。
また、核開発から経済重視へと国家戦略を転換した、金正恩氏による今年4月の決断も頻繁に話題に上っている。軍事がすべてに優先する「先軍」の時代は終わった、というのが北朝鮮の表向きのスタンスだ。
そして、政府公認の「監視係」を通して行われた平壌市民へのインタビューは、北朝鮮的な特徴を持った資本主義が育ちつつある様子をうかがわせるものだった(もちろん、北朝鮮では中央政府が経済をがっちりと管理しており、この点は今も変わっていない)。
北朝鮮での街頭インタビューはいつもそうだが、すべての回答は最高指導者および北朝鮮の経済システムを称えるところから始まる。
「将軍様が打ち出された政策はすべて経済の発展につながっていると思います」と、「平壌化粧品工場」で品質管理部門を統括するリェ・キョンスンさんは報道陣に語った。