直撃!「普通の人たち」が語る今の北朝鮮 金正恩氏の経済政策を称賛するが、実際は?
現在、建設が進む元山葛麻(ウォンサンカルマ)のビーチリゾートは韓国人観光客の取り込みを視野に入れている――。今年に入ってから複数の消息筋が北朝鮮ニュースにそう語っている。今回、インタビューした平壌市民の1人は、北朝鮮の人々は韓国からの観光客を歓迎するだろうと話した。
「私は南からの観光客を温かく迎え入れますよ」。平壌地下鉄の出口近くで北朝鮮ニュースの取材に応じた、ある若い女性はこのように言った。そして、新たに世界の大国となった北朝鮮には観光客が吸い寄せられることになるでしょう、と話した。「南の人々はわが国を尊敬しており、わが国が今後さらにもっと強大な大国になると考えていますから」。
ただ、Kポップグループが平壌で行った今年4月の公演に対する反応はかなり曖昧だった。無理もない。公演の様子は国営テレビで放送されなかったからだ(公演が行われたというニュース自体は朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」によって報じられている)。
韓国は北朝鮮から何を学ぶべきか
公演について感想を聞かれたこの女性の返答を、監視役は次のように通訳した。「彼女は最高指導者の同胞愛を感じとっています」。
では、韓国の同胞は北朝鮮から何を学ぶべきだろうか? 北朝鮮ニュースがこんな質問を投げかけてみたところ、この女性からは以下のような答えが返ってきた。「一丸となって最高指導者を支える団結力を学ぶべきでしょう」「また、国の発展のために身を捧げる、われわれ国民のあり方にも学ぶべきでしょう」。
北朝鮮では毎度のことだが、小さな改革の兆しについて語るときでさえ、最高指導者と国家システムへの称賛がついて回る。確かに、国際的な経済制裁の影響を暗に認めるような発言も現地では聞かれるようになってきてはいる。だが、北朝鮮は総じて以前と何も変わっていない。
現地でインタビューした北朝鮮の人々は、金正恩氏の舵取りによってさまざまな変化が起きていると立て続けに述べた。しかし、シルク工場のある作業員は「子どもだったころと比べて何が変わったか」と聞かれ、返答に苦しんでいた。そして言ったのが、次の言葉だ。
「大きな変化は見当たりません」
(文:オリバー・ホッサム)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら