直撃!「普通の人たち」が語る今の北朝鮮 金正恩氏の経済政策を称賛するが、実際は?
リェさんは、平壌化粧品工場の最大のライバルは新義州(シンウィジュ)にある「新義州化粧品工場」だと話した。先日、金正恩氏が視察した工場だ。同工場はロシアや中国、キプロス、オーストラリアに輸出を続けているとも言う。
「これら2つの工場は互いに競争し合い、化粧品の品質を高めるべきだと(将軍様は)おっしゃいました」。リェさんはイノベーションにはこうした競争が欠かせないと語り、世界的に有名な韓国の化粧品産業と将来的に競争するのはいいことだ、と付け加えた。「競争がなければ発展はありえません」。
たくさん働けばボーナスをもらえる
平壌市内にある「キム・イルスク シルク工場」の工場長、キム・ミョンファンさんも同じ意見だ。「当工場は他の工場と競争し合っています。お互いに学んだり、教え合ったりもしています」とキムさんは話す。「祖国に根ざしながらも全世界に目を向けよ。これが最高指導者のお言葉であります」。
キムさんは、超過勤務した工員にはさまざまな手当を与えていると報道陣に話した。ある工員によれば、これは本当だという。「たくさん働いた工員は手当をもらうことができます。ボーナスが手に入るのです」と、キムさんは言った。こうしたボーナスが現金で支払われるか、その他の報酬となるかは「その工員のニーズ」によって決まるという。
だが「利益の追求」が、少なくとも公の場で口にしてはならない話題であるのは、はっきりしていた。「(利益は)すべて国に納めなければなりません。他の企業が(利益の)何割を納めているのかは知りません」と、キムさんは言った。
「人民を養うのがわれわれの仕事です」「この工場や原材料は国によって与えられています。人民が自分たちのためだけに生産活動を行ったとしたら、もはや社会主義ではなくなってしまいます」
北朝鮮では今も頻繁に停電が起こる。報道陣が平壌から3時間ほど離れた妙香山(ミョヒャンサン)にある「国際親善展覧館」を訪問したときも、短時間ながら停電に見舞われた。ある北朝鮮人は、平壌の高層ビルでも停電問題が起きているとこぼしていた。