「同和は怖い」という根も葉もない最悪偏見 「無知」こそが最大の敵である

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名著『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ)に、私がぜひ、多くの人に読んでほしいと思った記述を見つけました。学者の研究の結果、ボスチンパンジーは20~50頭、ヒトならそのコミュニティや軍隊、その他の集団は、150人までなら1人の人が良好に維持・統率できるのだそうです。

古今東西、少数の特権階級が神話や虚構のヒエラルキーを作り、膨大な集団や見知らぬ人同士を支配するのに成功してきましたが、この150人限界説は、とてもわかりやすいと思いました。

私がここで、『サピエンス全史』の受け売りをさせていただくのには、深い訳があります。私の経験から、「同和地区」への偏見をなくそうという話になると、「理想論かきれい事、または建前論だ」という人が必ずおり、ここでも不毛な議論にすり替えられることを避けたかったからです。

数百年間、最下層と決めた人々の職業を限定して、多くの人を貧しさから脱却できないようにし、さまざまな不利益を強いてきたこの不条理や偏見を、上野のパンダの赤ちゃんが死ぬと日本中で悲しむ優しいこの国の人々に、知識としてだけでなく歴史の中で理解することで、心から憤ってほしいと思いました。

集団的思い込み

たとえばヒンドゥー教のカースト制はどうでしょう。約3000年前にアーリア人がインド亜大陸に侵入したとき、少数の侵入者が特権的な地位を維持するために、多数の人々をカーストに分けたというのが、多くの学者の見解だそうです。それぞれの職業を特定し、カーストが違えば交流も結婚も食事を一緒にすることも禁じ、「これは人知を超えた究極かつ永遠の現実を反映している」という話を作り上げました。

そしてこの決まりに背けば、本人も社会全体も穢(けが)れることになると、信じ込ませたのです。おそらく“部落差別”の源流は、仏教などがインドから中国、朝鮮半島を通じて日本に流入したよう、同じ歴史背景がこれらの国にあることを鑑みれば数千年前のアーリア人の政策に影響を受けた「集団的思い込み」かもしれません。

「穢れている階層」を創造すること、これは世界中の歴史をみても見知らぬ人たちを束ねる重要なカギのようです。最下層カーストにさえ入れなかったヒンドゥー教の不可触民同様、「女性、ユダヤ人、ロマの人、ゲイ、黒人」などは、かっては今では想像できないほど、穢れているとされました。「穢れていない清浄な人たち」にはとても都合の良い「虚構」の産物です。

紀元前18世紀にはすでに、世界最大の都市だったバビロンのハンムラビは自ら、「神々に指名された高貴な王だ」と神話を作り、最下層に「奴隷」階級を作っています。

このようにして日本でも江戸時代に特権階級に都合良く、(中世起源など諸説ありますが)農民や商人とは”別次元“の階級が存在させられたのは、誰もが知るところです。

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