権力者はどのような薬を処方されていたのか 主治医が明かす薬物依存と権力の闇

拡大
縮小
歴史を動すほどの権力者たちでさえ病気やストレスに悩まされていた。主治医だけが知る裏の顔とは(写真:AP / アフロ)

国家元首の主治医たちをめぐるノンフィクションである。もちろん、主治医についてだけでなく、元首たちの病気や性癖、投薬についても詳しく描かれている。登場する元首たちは並みの権力者ではない。

ヒトラー、チャーチル、ペタン、フランコ、ムッソリーニ、ケネディー、スターリン、毛沢東。それぞれの身体状況とそれに対する治療が政治に大きな影響を与えていた。そして、主治医たちは大きな役割を担っていたのである。

権力者である元首の主治医に求められる資質や技量

文字通り、元首の主治医は裸の権力者を見続ける。そのためには、まず元首に気に入られなければならない。その上、お気に召すような治療をしなければならない。

上の画像をクリックするとHONZのサイトへジャンプします

一方で、気にそまぬアドバイスをしなければならないこともあれば、病状をひた隠しにせねばならないこともある。権力者の主治医には、医術以外に相当な技量が要求される。

主治医によっては虎の威を借りて権力をふるおうとする者もいる。たとえそのようなことがなくとも、周囲からの圧力は強烈だ。権力者の側近たちからウソつきと呼ばれ、無能と蔑まれ、当然のように嫌われていく。最後には権力者本人にも疎まれ、嫌われ、捨てられてしまうこともある。どうにも割にあわない仕事である。

しかし、権力者に任命されたら断るわけにはいかない。断ればすべてを失うどころか、時には死を招きかねないのだから。

次ページヒトラーの主治医
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT