「税金とタクシー」、2つの言葉の意外な関係 知って納得!金融英語の世界

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「ネーム・バリュー(name value)」のvalue は通常「価値」という意味ですが、これはラテン語の動詞「valere(価値がある)」から出た言葉。この形容詞形、名詞形にequi-を接続したのが、「equivalent(同価値の)」、「equivalence(同価値)」です。さらに「声」を意味する vocal がつくと「equivocal(両方の意味にとれる、あいまいな)」という語になります。

タクシーと税金は何か関係がある?

Tax

taxは広く「税金」という意味で、「タックス・フリー(tax free)」や「タックス・ヘイブン(tax haven)」といった言葉も日本語化しています。動詞としても使われ、それが名詞化した語が「taxation(課税)」で、形容詞の「taxable(課税しうる)」も金融記事でよく見かけます。

つづりの類似から「taxi(タクシー)」は何か税金と関係があるのか、と思われた方はいたでしょうか。この言葉は「taximeter cab」の短縮形。つまり「税金を計算するメーター付きの車」というわけです。

さて、この tax という言葉はどこから来たのでしょうか。それはやはりラテン語に起源をもちtaxare という動詞から出てきたのですが、この taxare はさらにラテン語の重要な動詞 tangere という語に由来します。tangere は本来「触って評価する」というのが原義で、ここからダイレクトに英語化している語彙としては「tangible(触れられる、実在する)」があり、金融用語で「tangible assets」というと「土地や建物などの有形資産」のことです。

また、数学で学生のころ「サイン、コサイン、タンジェント」というのをやりませんでしたか。「tangent(タンジェント)」は「正接」とも言ったんでしたね。幾何では「接線」のことです。

「仕事、課題」を意味する「task」も tangere の仲間です。すなわち「触る→取り扱う→作業する」という意味の変化が起きたわけです。最近では「対策本部」のような意味で「タスク・フォース(task force)」という言葉もよく聞きます。

また、「触れる→味わう」と意味が広がってできたのが 「taste」です。ワインの「テイスティング(tasting)」などはもうすっかり日本語です。また音楽好きな人は「タクトを振る」という表現をご存じだと思いますが、これは「拍子」という意味のドイツ語「Takt」で、これも起源はラテン語のtangere にさかのぼります。

猪浦 道夫 翻訳家、ポリグロット外国語研究所代表

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いのうら みちお / Michio Inoura

1983年、イタリア国費留学生としてローマ大学留学。1986年、東京外国語大学大学院(ロマンス言語学研究科)修了。1989年に、株式会社ポリグロットを設立し、50カ国語の翻訳および20カ国語の語学研修事業に従事。1991年以降は、野村證券、旧日本興業銀行、ブリヂストン、キヤノン、ソニーなど、一部上場企業で、海外赴任者向け語学研修講師を務め、大好評を得る。2000年以降は、7カ国語のカリスマ語学教師として、「TVG(超速習)セミナー」など膨大な数のセミナーを個人学習者向けにも主催し、門下からはポリグロット(複数言語翻訳者)を多く輩出している。主な著書に『13カ国語トラベル会話』(共著、カルトブルー)、『3語で話せるスペイン語会話』(サンマーク出版)、『語学で身を立てる』(集英社)など。

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