「水素の輸入」がエネルギー安全保障の秘策だ 海外で製造したCO2フリー水素を日本に運ぶ
日本の総発電量の240年分の褐炭埋蔵量
国と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進める「水素社会構築技術開発事業」で、海外と連携する水素サプライチェーンの構築に向けた2つの実証プロジェクトが動き始めた。
その1つが、川崎重工、岩谷産業、電源開発(Jパワー)の3社が進める豪州褐炭由来水素のプロジェクトだ。
オーストラリア・ビクトリア州ラトローブバレーは、世界有数の褐炭炭田地帯だ。埋蔵量は日本の総発電量の240年分もあるという。しかし、褐炭は石炭化度の低い低品位の石炭で、発熱量が低いため、エネルギーとしてはほとんど利用されていない。
この褐炭をガス化して、そこから水素を取り出し、液化して日本に運ぶプロジェクトが実証段階に入っているのだ。
大量の水素の輸送方法としては、液化水素(体積は800分の1に縮小)が効率的だ。これは、天然ガスの輸入で、液化天然ガス(LNG)にして運ぶのと同じ方法だ。ただ、LNGの液化温度が-162℃なのに対し、液化水素は-253℃とはるかに低く、その分技術的難易度は高くなる。当然コストもかかる。
このプロジェクトでは、液化水素に強みを持つ岩谷産業が、液化設備と荷役設備を担当し、LNGタンカーで実績のある川崎重工が、液化水素運搬船を建造して海上輸送を行う。また、褐炭ガス化技術と水素精製設備をJパワーが担当する。
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