トヨタが燃料電池自動車をあきらめないワケ 2020年頃メド「MIRAI」の次期型車を発売へ
FCV(燃料電池自動車)の旗は降ろさない――。
水素を燃料とするFCVで世界初の量産車といえばトヨタ自動車の「MIRAI(ミライ)」。その次期型モデルを東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年の日本で見られるかもしれない。
トヨタはFCVの次期型モデルを、2020年ごろをメドに発売する方針を固めた。2014年12月に発売した現行FCVのミライの累計販売台数が約5000台にとどまる中、次期モデルはグローバルで年間3万台以上、うち日本でも年間1万数千台と大幅拡大を目指す。世界各国で進むEV(電気自動車)シフトに押されて存在感が薄れがちなFCVだが、トヨタは「FCVこそ究極のエコカー」と本命視しており、2020年代の本格普及を見据え、アクセルを踏み込む構えだ。
燃料電池システムのコストを半減へ
ミライは700万円を超える車両価格や脆弱な水素インフラがネックとなり、当初の期待より普及スピードが遅い。次期型モデルでは「燃料電池システムのコストを半減させる」(トヨタ幹部)としており、車両価格を大幅に下げて発売する見通しだ。加えて「2025年にはさらに半分の4分の1のコストまで削減する」(同)とのロードマップを示す。
トヨタはFCVの開発を1992年に開始した先駆けだ。FCVは電気自動車の一種。ただ最近話題の日産自動車「リーフ」などバッテリー(蓄電池)を搭載したいわゆるEVとは違う。バッテリーEVは車外から充電した電気を使ってモーターで走る。一方、FCVは車内で水素と酸素を化学反応させて作り出した電気を使って、モーターで走る。FCVもEVもCO2(二酸化炭素)排出ゼロのゼロエミッション車(ZEV)という点では同じだが、一般的にEVが構造上簡単な一方、FCVは水素を扱うために構造が複雑になりやすく、技術力も必要になる。そのため、EVに比べて参入障壁は高い。
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