トヨタとマツダがEV戦争に「結婚」で挑む事情 「本気の証し」として500億円の相互出資も
2年越しでようやく「結婚」に至った――。トヨタ自動車とマツダは8月4日、米国での合弁生産や電気自動車(EV)技術の共同開発などに向け、相互に出資する資本提携で合意したと発表した。
両社は2015年に環境・安全技術分野を軸とした包括提携を表明していたが、目立った成果は出ていなかった。今回新たに相互出資にまで踏み込み、ようやく具体的な取り組みが始まる。
トヨタはマツダが実施する第三者割当増資を引き受け、10月2日付けでマツダ株の5.05%を500億円で取得。同時にトヨタは、マツダに500億円分(0.25%)の自己株式を割り当てる。
2年をかけて関係を育んできた
発表当日夜、都内で記者会見したトヨタの豊田章男社長は「マツダは私たちが目指す”もっといいクルマづくり”を実践している。この2年でさらに思いを強くした」と話した。マツダの小飼雅道社長も、「トヨタは業界の抱える課題に対してリーダーシップを発揮している。この2年間で多くのことを学べたのはありがたく思っている」と応じた。
なぜ単なる業務提携にとどまらず、株を持ち合ったのか。トヨタの寺師茂樹副社長は「かなり本気でやっていこうという決意の証しだ。これをベースにさらなる提携の拡大を目指していきたい」と説明する。
自動車業界では今、自動運転やEVなど電動車の開発力が求められている。米グーグルなどの異業種も参入するなど、大きな変革期のさなかだ。資金力のあるトヨタといえども、1社で開発費のすべてをまかなうには負担が大きい。マツダと中長期の協力関係を築くことで必要な分野に資金を集中させ、次世代車の競争を勝ち抜く考えだ。
トヨタがマツダと資本提携に踏み切った理由は大きく2つある。次世代車として重要性が増すEVの開発加速と、トランプ政権から繰り返し求められていた米国での工場新設を進めるためだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら