トヨタ「カムリ」、斜陽セダンを立て直せるか 米国では不動の地位、失敗は許されない
「カムリでもう一度セダンを輝かせ、復権を目指す」
トヨタ自動車は7月10日、上級セダン「カムリ」を日本国内で発売した。約6年ぶりのフルモデルチェンジとなる。8代目となるカムリはエンジンやプラットフォーム、デザインなどすべてを一新した。価格は329万4000円~419万5800円だ。
幹部は「セダンの復権」を連呼
世界的なSUV(多目的スポーツ車)ブームに押され、セダン系にはもはや勢いがない。だが中型車の開発を担うミッドサイズビークルカンパニーでプレジデントを務める吉田守孝専務役員は、記者会見で「セダンの復権」を連呼。需要喚起に前のめりな姿勢を見せた。国内販売目標は月間2400台。先代の発表時の目標が月間500台であったことを考えると、強気だ。
カムリは1980年に国内専用の「セリカ カムリ」(FR車=前エンジン・後輪駆動)として誕生した。1982年に現在と同じFF車(前エンジン・前輪駆動)の構造に変わり、車名もカムリとなった。現在はトヨタのFFセダンで最上級にあたり、これまで世界100カ国以上で累計1800万台以上を販売。主戦場の米国では、2016年まで15年連続で乗用車部門の販売台数トップを獲得。トヨタの米国新車販売の約15%を占める稼ぎ頭だ。
トヨタは今回の新型カムリで初めて、新しい設計・開発手法「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を全面採用した。部品の共通化や標準化を図る一方、コスト削減で捻出した資金で走行性能や商品力を向上させていることが特長だ。
吉田専務は「かっこ良くするためには車高もボンネットも低くし、タイヤもできるだけ四隅に配置した方がいい。だが、これまではどこかで妥協していた」と明かす。それがTNGAで一変。車高を25ミリ、ボンネットを40ミリ下げて低重心で幅広な車体に見直すなど、走りやかっこ良さを重視したという。
現行の「プリウス」でもTNGAを一部採用していたが、今回はその範囲を初めてエンジンなど全領域へ拡大。排気量2.5リットルの4気筒直噴エンジンと、これに対応したハイブリッドシステムを搭載した。走りとともに燃費も1リットル当たり33.4キロと同車格でトップレベルという。カムリのTNGA対応部品は同じプラットフォームにも展開可能で、「レクサスES」などにも採用するとみられる。
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