トヨタ「カムリ」、斜陽セダンを立て直せるか 米国では不動の地位、失敗は許されない

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さらに2016年にカンパニー制へ移行したことで意思決定も早くなった。カムリのデザインはデザイナーが描いた最初のスケッチ画をほぼ採用した。

トヨタのデザイナーが描いたカムリのスケッチ画(撮影:尾形文繁)

従来のトヨタ車であれば、途中で多くの意見が入って最終的に角が取れて丸くなり、無難な車になっていくという傾向が強かった。

だが、新型カムリでは「エモーショナルを重視し、かっこよくて走りもわくわくどきどきする魂のこもった車にできた」と吉田専務は自慢げに語る。「もっといいクルマ作り」を掲げてきた豊田章男社長からも「ベリーグッド!」とお墨付きを得たという。

セダンに逆風が吹く国内市場

このように進化を遂げたカムリだが、取り巻く状況は決して追い風とはいえない。「ターゲットは1980年代に車を楽しんできた世代。だが、若い人にも受け入れてもらえる」と吉田専務は自信を見せるが、国内市場では軽自動車や小型車、ミニバンが上位を占め、いわゆる3ボックス型のセダンの影は薄い。

カムリはこれまで「カローラ店」専売だったが、今回「トヨペット店」と「ネッツ店」にも販路を広げた。”セダンの復権”を狙う強い姿勢がここにも表れている。

カムリの内装。加飾パネルで高級感を出している(撮影:尾形文繁)

主戦場の米国ではSUVへのシフトが顕著だ。新車販売台数に占めるセダンなど乗用車の比率は2013年に50%を割り込み、2016年は40%まで下がっている。市場全体でみても、米調査会社オートデータによると2017年上半期(1~6月)の米新車販売台数が8年ぶりに減少し、前期比2.1%減の845万台だった。特にセダン系の多いトヨタは3.6%減と市場以上に減速した。

カムリがいち早くお披露目された1月の米デトロイトショーでは、豊田章男社長が自ら登壇。米ドナルド・トランプ大統領がツイッターでトヨタのメキシコ工場建設を非難する中、「今後わずか5年で100億ドルを米国に投じる」と宣言し、実際、その一環として、カムリを生産する米ケンタッキー工場に13.3億ドルの投資も発表している。

新型車のデザインは先代と異なり、日本仕様も米国と同じにするなど、デザインを各国で統一。カムリはグローバル車として再出発する。トヨタのセダンを支える車なだけに失敗は許されない。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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