トヨタとマツダがEV戦争に「結婚」で挑む事情 「本気の証し」として500億円の相互出資も
またトヨタとマツダは米国で16億ドル(約1770億円)を投じ、2021年をメドに年間30万台規模の生産能力を持つ完成車工場を建設することも発表した。マツダは北米市場に新しく導入するクロスオーバーSUV、トヨタは小型セダン「カローラ」をそれぞれ生産する予定だ。
マツダは主力市場の米国に生産拠点を持たず、メキシコ工場と国内工場からの輸出で賄ってきたが、新たに現地生産に乗り出す。一方、トヨタは現在建設中のメキシコ・グアナファト工場をトランプ米大統領にツイッターで批判されてきただけに、米国での生産拡大も検討してきた経緯がある。両社の思惑が一致した形だ。
この日、トランプ大統領はツイッターで早速、「トヨタとマツダがここアメリカに16億ドルをかけて新たな工場を作り、米国人4000人の雇用を創出する。アメリカの製造業への大きな投資だ!」と歓迎の意を示した。
販売台数をめぐっては、今年上半期(1~6月)、日産・ルノー・三菱自動車グループが526万台で初めて世界トップに立った一方、トヨタは独フォルクスワーゲンに続く512万台で3位にとどまった。
新たな”1600万台連合”の威力
「自動車業界の競争の中心はかつて、販売台数をめぐるものだった。自動車の提携も資本の論理で、規模拡大を意図していた。だが今はグーグルやアップル、アマゾンといった新しいプレーヤーが登場している」。豊田社長はそう話し、単純な台数競争を否定する。
ただトヨタの提携関係をみると、SUBARU(旧富士重工業)に16.7%を出資して筆頭株主になっているほか、昨年8月にはダイハツ工業を完全子会社化。スズキとも業務提携に向けた覚書を締結済みだ。緩やかな連携も含めれば “1600万台”連合を作り上げたと見ることもできる。数の論理で、技術の業界標準化やコスト低減を進めやすい環境を手にしたといえよう。
これまでトヨタは「上から目線でアライアンスが下手」(豊田社長)と考えてきた。実際、トヨタは自力での成長だけでここまで大きくなった会社だ。M&Aを巧みに繰り返し巨大化したフォルクスワーゲンなどとは異なる。今回もマツダとの提携の具体化に2年かかるなど非常に慎重だ。
だが、先日の株主総会で豊田社長は「明日を生き抜く力として、今後はM&Aも含めてあらゆる選択肢を検討していく」とめずらしくM&Aに言及した。変化のスピードが速くなるばかりの自動車業界では、社外にある技術も取り込まなければ生き残れない。”石橋を叩いても渡らない”トヨタの慎重な姿勢は変わるのか。まずはマツダとの相乗効果を出せるかが、試金石となる。
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